日暮愛葉が結成した3ピース・バンド、
LOVES.。今回リリースされる彼らの新曲は、10月20日から公開される映画『クワイエットルームにようこそ』の主題歌としても注目されている。内容は、現代社会のルールに縛られた“心”を開放してくれるメッセージが凝縮。その新曲について、バンドの中心人物の日暮愛葉に話を聞いた。
めくるめくLOVES.の世界へようこそ。
SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERからソロへと活動を移行した日暮愛葉が新たに結成した3人組バンドが今年3月のアルバム
『LUCKY ME』以降、初のリリースとなるニュー・シングル
「Naked Me」は、パーンと宙に放たれるシンプルなギター・リフが、何かに囚われているものから聴き手を自由にするトリガーのような一曲だ。ヴォーカル/ギターの日暮愛葉はそのトリガーとしての音楽について、次のように語る。
「今は音楽的にも人間的にもどんどん解放されていってるんですよ。できるなら裸で歩きたいくらい(笑)。イギリスに住んでる私の友達が裸で歩いて捕まったんだけど、服を着るのがイヤになっちゃったっていう。その気持ちはすごい分かるけど、そうやって解放されればされるほど、社会的には困難が増えたり、虐げられたりするんですよね」
この作品は、10月20日から公開の映画『クワイエットルームにようこそ』(原作/脚本/監督:
松尾スズキ)の主題歌に起用される。仕事と私生活の混沌に押しつぶされ、ある日、目醒めたら、見知らぬ白い部屋──“クワイエット・ルーム”と呼ばれる隔離病棟にいた女性の主人公を軸に展開されるストーリーと寄り添いながら開けた風景を描いてゆく。
「こういう世の中に暮らしていると、主人公が病気になるのも正常反応というか、程度の差こそあれ、誰もが何かを抱えて生きているし、病院にストレス外来があったり、子供ですらストレスって言葉を知ってるくらいですからね。その意味で、この映画はリアリティがあるし、キャッチーだと思いましたね」
暗黙のルールが張り巡らされた社会で、意識的/無意識的に抑圧され、緊張を強いられた状態である枠組みから振り落とされないよう、誰もが懸命に生きている。そこで生じた歪みは人間を内面から傷つけ、落ち込ませることもあるけれど、そうであるからこそ、囚われることのない自由な音楽が多くのリスナーの背中を後押しする。
「私も躁鬱と統合性失調症がまじった非定型精神病なんですけど、少なくとも、娘や恋人、自分と関係をあたためてきた人たちには解放された状態でいてほしい。そうじゃないと、いつまで経っても、自分も解放されないですからね。そんなことを思って歌詞を書いたんですけど、これはある種のメッセージ・ソングだと思ってもらっていいです」
作品がメッセージに寄りすぎてしまうことに対する怖さも十分に自覚している彼女だが、前作のアルバムの先で極めつつあるノーウェイヴ/ニューウェイヴ路線を一端脇に寄せて真正面から取り組んだ本作は、映画の世界観に対する共感がメッセージを発する勇気となり、説得力や前進力となって、聴き手に提示されている。あとはこのトリガーを引くか否か。あなたには指がかかった引き金の感触が伝わるだろうか?
取材・文/小野田 雄
【LOVES. ライヴ・スケジュール】“LOVES.2007「POP UP loves.」”
公演日 : 2007/11/01
地域 : 東京都
会場 : 代官山 UNIT
開場 : 18:00
開演 : 19:00
チケット(税込) : 前売/\3,000(税込・ドリンク別/整理番号付)
出演:Kiiiiiii/LOVES.
“MINAMI WHEEL 2007”
公演日 : 2007/10/27
地域 : 大阪府
※詳細については
公式サイトまで。