今年の酷暑に劣ることない、ディープ・インパクトな男気全開! 俳優・
竹内 力の弟(!?)である
RIKI(アールアイケーアイ リキ)が、新旧CMソングを中心としたカヴァー・アルバム
『男唄』をリリースした。ギラギラとした雄叫びはまさに“肉食系”で、甘さゼロの超ビター味。この魂の歌声に心が震えなかったら男じゃあない!
――いや〜、あまりの男らしさに卒倒しそうになりました。 RIKI(以下、同)「そうだろう? 自分で言うのもなんだけど、暑苦しいよな(笑)。ま、内容もバッチリだし、CDジャケットもイカしてるだろう? まずは人間、見た目が大事だからな」
――まさにRIKIワールド全開です。今回は耳馴染みのあるCMソングを中心としたアルバムですが、曲はどういった基準で選ばれたんですか?
「<一番星ブルース>は“ヤンキー夜露死苦!”という携帯サイトで公募して一位になった曲。で、それ以外は有名なCMソングをたくさんあげてもらって、その中から絞り込んだって感じかな。年配の人は知っているけど、若い子が知らない曲だったり、またその逆もしかりで、全部素晴らしい曲だから多くの人に知ってもらいたいと思ってな」
――2009年に発表したアルバム『全国制覇』に収録されたモーニング娘。の「LOVEマシーン」が好評でしたが、RIKIさんにとってカヴァー曲を歌うというのは? 「<LOVEマシーン〜RIKIバージョン〜>は兄貴(竹内 力)がRIKIバージョンとして新たに歌詞を書きなおしたんだけど、今回は男性歌手の歌だから歌詞はオリジナルのまんま。あ、でも<タイガー&ドラゴン>は大阪バージョンに兄貴が詞を変えてるけどね(笑)」
――けど、カヴァー曲って元歌のアーティストと比べられたりするじゃないですか。
「まあな。例えば<め組のひと>は
鈴木雅之さんと比較されるわけだけど、逆にそれが俺にとっては良いんだよ。“よっしゃ! じゃあギトギト歌っちまおうかな〜”って(笑)。俺のアルバムとして出す以上“らしさ”を前面に押し出さないと意味がないと思うから」
――真っ向勝負ッスね! 通常、カヴァーというと楽曲をアレンジするもんですが、そこにもほとんど手を加えてませんね。
「<完全無欠のロックローラー>だけはちょっと変えたけど、あとはオリジナルに忠実。それがオレのやり方だよ」
――そのRIKIさんの直球ぶりが功を奏して、CDに先だって配信されたレコチョクの演歌・歌謡曲部門でベスト10に8曲もランクインしました。
「ありがたい話なんだけど、不思議だよな〜。しかも<一番星ブルース>が1位。その曲を知っている60〜70代の人が携帯電話でダウンロードをしていると思えないし……」
――その「一番星ブルース」ですけど、アルバムの中でも一際インパクトがありました。
「じつはこの曲について、俺はおぼろげにしか知らなかったんだよ。今回あらためて聴いて。しみじみ男らしくていい曲だなって。ド演歌だけどさ、若いヤツらは新鮮だったかもしれないね。この曲は菅原文太さんが主演した映画『トラック野郎』のテーマ曲で、俺も大型トラックの免許持っているから親近感が湧くんだよな。あとブルーハーツの<情熱の薔薇>って曲も、若い人が聴くものだと思っていてあまり知らなかったんだけど、パワーがあって、いい曲だよな。だからさ、このアルバムを買って、オジサンは若い人の曲を、若い人は昔の曲を覚えてカラオケのレパートリーにしてもらえると嬉しいね。いい曲は長く歌い継がれるべきだし、それを知るチャンスだと思うんだな、俺は。このアルバムを聴いて覚えて“こんな男らしい曲も歌えるんだぜ!”って周りを驚かすっていうのも面白い」
――なるほど〜。では最後に、RIKIさんにとって“歌”ってなんでしょう?
「うーん、歌うのはもともと好きなんだよ。学生の頃は、
甲斐バンドや
アリス、
オフコースのカヴァー・バンドをやってたぐらいだから。楽器は他のヤツに任せて、俺は歌うばっかりだった(笑)。俺はさ、“エンタテインメント・シンガー”としてやってるから、歌という手段で個性を広く世間に打ちだしていきたいなって思っている。自己表現方法として、これで俺は生きていくぜ! 兄貴の会社(プロダクション)で雇われの身だけど……。うちの兄貴、あんまり給料くれないんだよな(泣)」
取材・文/石塚 隆(2010年8月)