ストレートな爆発力と毒っぽさ、“恐るべき10代”Droogが放つ新作『Violence』!

Droog   2010/10/07掲載
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 2月に発表された1stミニ・アルバム『Droog』で“恐るべき10代”などと注目を集める大分出身の4人組、Droog(ドルーグ)。バンド名は映画『時計仕掛けのオレンジ』の主人公たちが仲間同士を呼び合う時に使う呼び名から取ったとのことだが、彼らもまた混沌とした日常の中、プリミティヴな衝動とともに世界中に毒をまき散らすかのようなロックンロールを聴かせる。今回、メンバーのカタヤマヒロキ(vo)、荒金祐太朗(g)に、10月16日に発表される2ndミニ・アルバム『Violence』の話をはじめ、あれこれと訊いた。






カタヤマ 「そもそもバンドをやろうと思ったのは、小学校の時に謝恩会や文化祭のようなお披露目会があって、そこでギターを持って遊んでみたかったのがきっかけなんです。多田(拓斗/b)の両親がベースを持っていたこともあって、それを借りたりして。それでそうこうしているうちに、自分もギターを買おうという気分になったんです」
荒金 「僕はそこには参加していないんですけど、中学に入ったら隣の席がたまたまヒロキで。練習を見に行くうちに“ギターで入らん?”って今は辞めたギターに誘われたんです。それまではピアノをやっていたので、みんなの下手さ加減が気になっていました(笑)」
――やっぱり活動当初は、コピーから?
荒金 「ラモーンズの1stは、全部コピーしましたよ。その中で<ジュディ・イズ・ア・パンク>と<53rd & 3rd>をやった時に、“あっ、これや!”って思ったんです。“ワン、トゥ、スリー、フォー”のカウントとともに音を出す感覚にやられたというか」
カタヤマ 「<53rd〜>にはミドル・テンポの快感を味わいました。それこそ今のDroogが、そこから始まったと言えるんじゃないかな」
――とはいえ、ラモーンズってカウントの後に1秒ぐらい間が空いたりするでしょ?
カタヤマ 「あの間も研究しました(笑)」
――ほかに影響を受けたアーティストは?
荒金 「ダムドとかですかね。(駄作と評されることの多い)2ndも好きなんですよ」
カタヤマ 「スターリンが凄いなって(取材時にはスターリンのTシャツを着用)。歌詞も単純に暴力的なだけかと言えば、そうじゃない。そこからまた掘り下げて、高田渡遠藤賢司といったフォークを聴いたりもしています」






――カタヤマさんの書く歌詞を見ると、高田渡や遠藤賢司というのも何となく分かる。
カタヤマ 「(セックス・)ピストルズやダムド、ジョニー・サンダース、それにスターリンなんかが醸し出す毒っぽさが好きなんですよ。高田渡や遠藤賢司の歌詞にしてもそう。『Droog』に収録されているのも、そういった毒っぽさを意識して作った曲ばかりなんで」
――確かに『Violence』にも、カタヤマさんの語る毒っぽさは息づいていると思う。
カタヤマ 「1stは18年間の集大成というか、これまでにあった曲の中からカッコいいものを集めたアルバム。それで2ndはどうしようかと考えた時に、今度は突き抜けた感じというか、ストレートな爆発力を作品に込めたいと思いました」
――そう考えるようになったのには、周りの環境が大きく変化したことも影響しているのかな。それこそこの数ヵ月で評価が全国区になったり、<PUNKSPRING 2010>などの大型フェスに出演したりしたじゃない?
荒金 「うーん。特に環境がどうってことはないですね。いろいろなCDを聴いて、“こういうのをやりたい”とか“俺たちもこういう風にやったらいいんじゃないか”とかあれこれ考えるじゃないですか。そういったことが、自分の原動力になっているんで」
カタヤマ 「ずっと同じテンションかは分からないけど、要はカッコいいと思ったことを曲げずにやりたいんで」
――なるほど。ストレートさと言えば、「両手にノルマ」のギター・ソロって微妙にチューニングが狂っているよね。あれは、正確さよりもその場のノリを重視したってこと?
荒金 「確かに3弦がヤバいかも(笑)」
カタヤマ 「もちろん何テイクも録っているんですけど、<両手〜>にはヘロヘロな感じがあっているし、そういった部分も聴いてほしいと思ったんです。実際、テンポがズレていたりとボロボロだったりするんですけど、このテイクがその感じが出ててカッコよかったんで」
――これはお世辞じゃなく、Droogから何か新しいことが始まりそうな予感がするというか、とにかく新たに楽器を手にするティーンエイジャーが大勢出てくる気がする。
荒金 「俺らも中二でピストルズをコピーしたら簡単やったけど、やっぱりカッコよかったんですよね。それで自分たちも曲作りをするようになると、簡単なコードなのにカッコいい曲ができると嬉しかった。だから、あの時の俺らのようにDroogをコピーして、中二のヤツらが“カッコいいけど、簡単やった”と思ってくれれば万々歳ですよ」
取材・文/兒玉常利(2010年8月)
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