谷村奈南の約8ヵ月ぶりのニュー・シングルは、収録曲2曲が本人の作詞。恋愛に対して“TOXIC(=中毒)”な女の子の想いを歌った
「TOXIC」と、人間の二面性を突く不思議な世界観の「CIRCUS WORLD」だ。両曲はカラーこそ違えど、ダンサブルなサウンドに体が揺れる極上の仕上がり。歌とダンスがシンクロする見応え充分のPVにも注目してほしい。
――今回、「TOXIC」の方はどのように作詞を進めていったんですか?
谷村奈南(以下、同)「これは最初にトラックをもらったとき、ガーリーなんだけど、ちょっと毒づいてる感じだなと思って。それでまずタイトルを“TOXIC”(=中毒)にして、相手の男性を中毒のように愛してしまう女の子の気持ちを書いてみました。今までの私の提供していただいた歌詞って、わりと強い女性のイメージが強かったんです。“男がいなくても何でもできるわよ♪”じゃないけど(笑)、そういう感じのものが多かったので、今回作詞をするにあたっては、相手に夢中な曲にしてみようかなって」
――それにしても主人公は、本当に周りが見えないくらい恋に夢中! これって、谷村さん自身の恋愛とも当てはまります?
「そうですね〜(笑)。危険度にもよりますが、友達の忠告も聞けないくらいの大恋愛っていうのも、私はあっていいんじゃないかと思う派なので。自分の周りにそんな子がいたら背中を押すだろうし、そこまで人を好きになれる気持ちって一生にそう何度もない経験だと思うんです。<TOXIC>は、そういう恋愛をしてる子への応援ソングでもありますね」
――では、“中毒”という言葉にからめて……谷村さんが2010年にハマったものって何ですか?
「“YOSA”です! 専門のお店に行って、レインコートみたいなものをかぶって、よもぎ蒸しのように体を蒸気で温めるんですよ。血行が良くなって美容と健康にもいいし、精神的にもすごくリラックスできますね」
――なるほど、ぜひ行ってみたいと思います(笑)。では次はカップリングの「CIRCUS WORLD」。こちらはどんな風に作詞を?
「これもまずトラックを聴いたときのインスピレーションを大事にして。最初は、Aメロ、Bメロ、サビが全然違う感じに聴こえたんです。AとBはちょっと遊んでる感じなのに、サビは曲が変わったみたいにシリアスになるので。だから歌詞の世界観やPVも、そういった変化をつけてみましたね」
――そもそも、これは恋愛の歌詞?
「そのへんは聴いてくれる方の解釈でいいんですが、私の中では恋愛のイメージではなくて。主人公の子は自分がいる世界に違和感を持ってるんですが、そういう、誰しもにある二面性みたいな部分を書いてみたんです」
――サビでは、たとえ自分の足元が揺らぎかけても、何か大切なものや芯になる気持ちを持っていたいっていう想いが表現されていますよね。
「はい。誰の中にも必ず真実というものはあると思うので。この曲の本質はサビに全部つまっていると思います」
――谷村さん自身はそうやって自分を見失いかけたりしたとき、歌ってどんな存在になってくれるんですか?
「まず私の中では、他がどんなに揺らいでも歌だけは揺らがないと思っていて。歌は自分にとって体の一部だし、音楽がない生活は本当に考えられないので。“支え”とかじゃなくて、自分そのものだと思いますね」
――今回のシングルは2曲とも作詞を担当しましたが、この後もご自身で書いていきます?
「そうですね、これを機にシングルも全部書いていきたいと私の中では思っています。やっぱりレコーディングやPV撮影のときは、自分で書いたものの方が入り込めたりするので。でも、提供していただく歌詞も自分では出てこない人格が生まれたりして、それも面白いのかなって思うんですけどね」
――2011年はどんな音楽活動をされますか?
「ライヴがしたいですね。今年の夏はいろいろライヴに出させていただいたんですが、ライヴこそがアーティストの真の姿というか、自分が見てもらいたい自分はやっぱりライヴにしかないと思ったんです。なので早く2011年はライヴで全国の皆さんに会えるのを楽しみにしています」
取材・文/川倉由起子(2010年11月)