5thアルバム
『そら』が今年の1月にリリースされ、その後はツアーを中心に活動していた
平原綾香。映画『マリと子犬の物語』の主題歌にもなり、
吉元由美作詞のデビュー曲
「Jupiter」の思いを受け継いで、自らが作詞を手掛け制作されたというニュー・シングル
「今、風の中で」が11月28日にリリースされる。本作は、希望に満ちた力強い世界観を持つ、壮大なバラードに仕上がっている。彼女にとっても重要な一枚となった本作の話を聞いた。
ふくよかな響きをたたえたストリングス、心地よいノスタルジアと高度な洗練を兼ね備えたメロディ、そして、未来への願いを胸に誓う、力強く前向きなリリック。平原綾香のニュー・シングル「今、風の中で」(映画『マリと子犬の物語』主題歌)は、作曲を
久石譲、編曲を
島健が手掛けた、壮大なバラード・ナンバーとなった。この曲の作詞、ヴォーカルにおいて彼女は、「Jupiter」――平原綾香の存在を大きく広げた、2003年のデビュー曲である――の思いを受け継ぐようなものにしたかったと言う。
「〈Jupiter〉は吉元由美さんの歌詞の力も大きかったと思うんです。だから今度は、自分の思いで書いてみたいなって。尊敬する久石さんのメロディに歌詞を付けるのは、大変でしたけどね。映画の主題歌としても成立していて、自分の思いも込めて、さらにどんな人が聴いても何かを感じてもらえるものにする。そういうプロフェッショナルな仕事を求められました」
まるでずっと前からすぐ側にいてくれて、聴く者の心をゆったりと温めてくれる。そんな感覚に包まれるヴォーカルからも、彼女の新しい成長が伝わってくる。
「この曲をレコーディングした時期は、不安でいっぱいだったんです。大学を卒業してから初めてのツアー(4月から行なわれた全国ツアー“そら”)は、私にとって大きな試練で、気持ちと声をリンクさせるのが難しかったので……。感情的にならず、風のなかで力強く、笑顔で歩いてる――そういうヴォーカルを目指したんですが、それが〈Jupiter〉を受け継ぐようなものになったかどうかは、聴いてくれる方に判断を任せたいと思います(笑)」
2曲目には「あまりクラシカルになりすぎず、親しみやすい感じをコンセプトにしていました」
というミディアム・バラード「To be free」(「日米対抗フィギュア2007 TBSテーマソング」)、そして3曲目には宮川彬良(p)、平原まこと(sax)とのセッションから生まれた「シャボン玉」を収録。 「彬良さんと父が
ユニットを組んでいて、いくつか童謡をカヴァーしてるんですよ。そのなかに〈シャボン玉〉もあったんですけど、ライヴで演奏するとき、いつも彬良さんが歌詞の説明をなさるんですね。シャボン玉っていうのはじつは魂のことで、野口雨情さんが娘さんを亡くされた直後に書かれた曲なんです。それだけでもう、胸がいっぱいになってしまって……。レコーディングも本当に素晴らしかったです。彬良さんが私の呼吸にぴったり合わせたピアノを弾いてくれて、ヴォーカルに父のサックスが絡んできて。まばたきした瞬間に夢が醒めてしまうような、とても繊細なトラックになったと思いますね」
大きな壁を乗り越え、また一つミュージシャンとしての深みを増した平原綾香。このシングルは彼女にとっても、とても意義のある作品となったようだ。
「一時は“私、歌い続けられないかも”とまで思いましたけど、やっと地中から抜け出しました(笑)。うまく行かないときは、自分が試されてるとき。へこたれずにがんばっていれば、必ずごほうびがもらえるんだなって思いましたね、今回のシングルを通して」
取材・文/森 朋之(2007年10月)
【平原綾香 ライヴ・スケジュール】“平原綾香 シンフォニックコンサート2007”
【日程】 12/14(金)
【会場】 東京国際フォーラム ホールA
【開場/開演】 18:00/19:00
【チケット】 \8,000(税込)/※全席指定
※お問合せ:キャピタルヴィレッジ/Tel.03-3478-9999
“Hankyu san bangai presents Dream Live 2008”
【日程】 2008/1/22〜23
【会場】 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪梅田)
【開場/開演】 各日16:00〜/19:00〜
【出演】 ピーボー・ブライソン/hiro/平原綾香/K/別所哲也