Shin-Ski
――どういった経緯で活動を始めることになったんですか。
Shin-Ski 「僕はもともとアメリカに住んでて、Insightとはその頃から仲が良かったんですよ。彼のアルバムに関わったこともあったし、単発じゃなくて一緒にアルバムを作ろうっていう話が出てきて。それで仲の良かったRYOWくんも入って、2006年から3人で始めました」
DJ RYOW 「お互いに違うものを持ってるんで、おもしろい化学反応が起きる気がしたんですね」
――結成にあたって具体的な音楽のイメージはあったんですか。
Shin-Ski 「Insightは“『Midnight Marauders』(ア・トライブ・コールド・クエストの93年作)の現代版を作りたい”って言ってましたね。僕もおもしろいと思ったし、そのアイディアが発展して出来たのがファースト『Shallow Nights Blurry Moon』(2006年)なんですよ」
Insight
――Insightとは普段どうやってやりとりしてるんですか。
Shin-Ski 「Skypeとか電話、あとはメールですね。実は僕らもInsightと5年ぐらい会ってないんですよ(笑)。でも、Skypeでは常に話してるんで、会ってない感じはしないんですけど」
――じゃあ、データのやりとりをしながら制作を進めていくんですね。
Shin-Ski 「そうですね。僕からトラックを送るんですよ。そのなかからInsightがピックアップして、そこにラップを入れたものの上にRYOWくんのスクラッチを乗せていったり。Insightの上げてくるラップに一回もNG出したことないんですよ。意思疎通ができてますからね」
DJ RYOW 「僕も普段トラックを作ってるんですけど、ShinSight Trioでは(トラックメイキングを)Shin-Skiに任せているので、僕はスクラッチなりSEに専念できる。ただし、スクラッチはやりすぎるとノイズになりかねないんで、そこはやりすぎず、なおかつ存在感を出せるようにやってます」
DJ RYOW a.k.a smooth current
――台湾や中国などアジアでの活動も積極的にやってらっしゃいますよね。
DJ RYOW 「そうですね。中国は今年の年明けに(ライヴを)やったんですけど、温かい感じでした。中国ではこういうことをやってる人たちがまだいないんで、おもしろく観てくれてるみたいで。アジアの方からはよくメールをいただくし、少しずつレスポンスがよくなってる感覚はありますね」
――日本のヒップホップ・シーンについては?
Shin-Ski 「僕、日本のヒップホップはあんまり聴いたことないんですよ。現状もそれほど知らないですし。日本でムーヴメントを作ろうという意識よりも、自分たちのなかでやりたい音楽があって、それを楽しんでくれる人がいたら……という意識のほうが強いですね。
――新作『Moonlight Sunrise』は最初に何らかのイメージがあったんですか。
Shin-Ski 「今回は“ユニヴァーサルなものを作りたい”っていうコンセプトがあったんですよ。だから、いろんな国のラッパーが参加してるんです。“音楽には国も言葉も関係ない、みんなで楽しもうよ”、そういう作品にしたかった」
――みなさん過去に交流があるラッパーなんですか?
Shin-Ski 「ドイツのGeronimo MCやフランスのMoby Deeは、Insightがヨーロッパで出会った人らしくて、僕らも会ったことはないです。Insightからファイルが送られてきたら、すでに彼らのラップが入ってたんですよ」
DJ RYOW 「最初は“これ、誰?”って感じでしたけど(笑)」
Shin-Ski 「ふだん聞き慣れない言葉のラップは聴いていても新鮮でしたね。“(トラックに)こういう風に乗るんだ!”という驚きがありました」
――今後の活動に関してはどういうイメージを持ってます?
Shin-Ski 「ライヴをやりたいですね。Insightがアメリカにいるぶん、今まではなかなかできなかったんですけど、2人でもできるような形を作っておいて、Insightが来るときはすぐにライヴできるようにしたい。ゲスト的にほかのラッパーに入ってもらうのもいいと思いますしね」
取材・文/大石 始(2011年9月)