ボーイッシュな小さな身体にアコーディオンを抱き、“しっとりもちもち”した個性的な歌声でオーディエンスをスウィングさせる――都会の路地裏にひっそりと暮らす猫のような魅力を“フーテンの寅さんのトランク”に詰め込んだような2ndアルバム
『エトランゼ』を発表した
中山うりに話を訊いた。
ジャズ、タンゴ、ヨーロッパ民謡などをナチュラルに含ませたソングライティング、美しいメランコリアと鮮烈なグルーヴ感を併せ持ったヴォーカリゼーション。じんわりと懐かしく、でも、強烈な新しさをたたえた音楽性によって急速に知名度を上げている“中山うり”から、2枚目のアルバム『エトランゼ』(外国からの旅行者、異邦人、よそ者を意味するフランス語)が届けられた。今年5月にリリースされた1stアルバム
『DoReMiFa』では、ノスタルジックなムードを伝える楽曲を中心としていた彼女だが、“曲想もメロディの質感も前作とは違う方向から攻めたかった”という本作では、よりカラフルでヴィヴィッドなサウンドを展開している。
「セピアっぽいフィルターを通しながらも、カラー・チェンジというか、1stとは対極にあるものを作りたかったんです。歌詞の世界もかなり違うと思いますね。前作は過去を振り返るようなものが多かったんですけど、今回は等身大の自分が旅をしている、というイメージだったので」
彼女自身が「アルバムのキーになっている」と言うのは、人力ドラムンベースとでも言うべきリズム・アレンジと“近未来のフォークロア”と形容したくなるようなメロディがひとつになった「さすらいのエトランゼ」。カイロ、トリポリ、マラケシュ、カサブランカなどの地名が連ねられたリリックも、“世界を旅する”というコンセプトをはっきりと象徴している。
「アルバムが8割くらい出来たときに、旅の歌、旅を夢見る歌が多いなって気づいて。< さすらいのエトランゼ >はメロディ自体がすごくエキゾチックで、異国の匂いもするので、最初はスキャットでもいいかなって思ってたんです。でも、まるで畳み掛けるように歌詞がどんどん出てきて……。(曲中に出てくる地名は)実際に行ってみたいところだったりしますね。旅に出たい、行ったことのないところに行きたいっていう気持ちは強いかもしれないです。“どこで死にたいかな?”っていうのも、よく考えたりするんですよ。それは暗い意味ではなくて、“どこに骨を撒いてもらおう?”だったり、“老後は……?”っていうことなんですけど(笑)」
iTunes StoreのJAZZソング・チャートでヒットを記録した「笑う月」、
あがた森魚が
『バンドネオンの豹』で発表した「夜のレクエルド」のカヴァーなど、音楽的なふり幅もさらに広がった本作。アコーディオンだけではなく、トランペット――彼女は優れたトランペッターでもある――を大きくフィーチャーしているのも、このアルバムの魅力だろう。
「そこまでアコーディオンにこだわってるわけではないし、“アコーディオンをベースにして……”という意識もなくて。面白い楽器があればいろいろ触ってみたいと思うし、新しいことにもどんどん挑戦してみたいと思います。もう次の制作に入ってるんですけど、いままでにやってことがない、ギラギラした感じの曲も作ってるんですよ。いままで知らなかった自分を見つけたいというか、自由にやりたいっスね、これからも」
取材・文/森 朋之(2007年11月収録)
中山うりミラクルワンマン2007冬 『エトランゼ』発売記念ライヴ
≪東京≫
12月11日(火)@Shibuya DUO(デュオ) -Music Exchange-
OPEN 19:00 / START 20:00
前売\2,800 (ドリンク別)/当日\3,300 (ドリンク別)
お問合せ : Shibuya DUO TEL:03-5459-8716
≪大阪≫
2007年12月14日(金)@Shangri-La
OPEN : 18:30/START : 19:30
前売り¥2,800 (ドリンク別)/当日¥3,300 (ドリンク別)
≪沖縄≫
2007年12月21日(金)@桜坂劇場ホールA
OPEN : 18:30/START : 19:30
前売り¥2,800 (ドリンク別)/当日¥3,300 (ドリンク別)
≪インストア・ライヴ(名古屋)≫
2008年12月15日(土)@タワーレコード名古屋パルコ店(パルコ特設会場)
START : 15:00
お問い合わせ:タワーレコード名古屋パルコ店 TEL:052-264-8545
※詳細は中山うり公式HPでご確認を!