幅広いレパートリーと愛らしいルックス、そして第5回クラリネットアンサンブルコンクール第1位(2008年)の実績を持つクラリネット女子カルテット、
COLORFUL(カラフル)。じつは彼女たちは、AKAI professionalブランドのウィンド・シンセサイザー“EWI4000s”を手に、EWIアンサンブル・ユニットとしても絶賛活躍中。このたび、EWI誕生25周年を記念して、この楽器を全面的にフィーチャーしたニュー・アルバム
『エレクトリック・カラフル』を発売。これまで、
T-SQUAREで
伊東たけしさんが演奏するF1のテーマ曲「TRUTH」の楽器として知られてきたEWIだが、これを機に、もしかしたら巷に“EWI女子/男子”が急増するかも……。
――全曲EWIのアルバムは世界初だそうですね。EWIサウンドを知り尽くした皆さんが思う、この楽器の魅力とは?
若林愛「楽器の裏側にあるオクターブ・ローラを親指で転がすだけで、簡単にピアノ並みの8オクターブまで音域を変えられるところがすごいです!」
澤目未樹「トランペットのような強めの金管楽器の音色から柔らかいものまで、表情豊かに80種類以上の音色が出せるところですね」
小田祐子「単三電池4本で動いて、どんな場所でもヘッドフォンをつないで演奏可能なので、夜中でも練習できるんです」
中村奈央「ボタン1つですべての調に対応できるので、フラットの多い楽譜、シャープが多い楽譜もへっちゃらです」
――息の細かい強弱をそのまま音に反映するリップセンサも優れモノですね。シリコンのマウスピースを噛むとビブラートもかけられるとか。
若林「誰でもすぐに音が出せて、指づかいも、縦笛、クラリネット、サックスを演奏する人はすぐに慣れると思います。金管楽器奏者向けの運指もあって、どの楽器の人にもとっつきやすいんです」
澤目「初心者でも楽しめるし、今まで楽器を吹いていた人にとっては、音楽の幅を広げてくれます」
小田「中高の吹奏楽部などに出張レッスンに行くと、みんなに“こんなに簡単なんだ!”ってよく驚かれます」
中村「サックスよりも軽い。普通はボディの色はシルバーですが、今回の25周年記念モデルの特別な色も素敵です」
――エレクトリックなアンサンブルなのに、どの楽曲からも“息づかい”を感じました。収録曲はとてもバラエティに富んでいますね。
若林「ディズニーが大好きなので“エレクトリカルパレード”の音楽とかも入れたかったのですが、今回録音した〈星に願いを〉もおすすめです。それと、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の音楽も吹奏楽の人気曲で、キャッチーだと思います」
澤目「エヴァンゲリオン好きなので〈残酷な天使のテーゼ〉を収録できて嬉しかった! アニメ・ソングとしては〈キューティーハニー〉も楽しかったです」
小田「私たちみんな洗足学園音楽大学の出身なので、
平原綾香先輩を尊敬しています。〈ジュピター〉はクラシックとポップスの世界をつなぎたい私たちにとっても、道を示してくれた、大切な楽曲です」
中村「今回のアルバムでは初めて、リーダー(若林)の〈acid five〉と私の〈GIRLS' Talk〉という2曲のオリジナル曲を収録することができました。楽曲から作者“らしさ”を感じるってみんなに言われて嬉しかったです」
――ライヴにインストア・イベント、EWIの世界を広げるクリニックと、今後の予定もびっしりですが、これからのカラフルが目指すものは?
若林「オリジナル曲を増やしたいです。クラリネット・カルテットとしても、EWIアンサンブルとしても両方」
澤目「これからもユニット名どおりの“カラフル”な世界観、キラキラでエレクトリックな明るいイメージを追求したいです」
小田「いろんなジャンルの音楽と関わりつつ、パフォーマンスでも、ひとつのショーみたいな、総合エンタテインメントを目指したいです」
中村「EWI人口はまだまだ少なくて、どちらかというとユーザーには大人の男性が多いので、できれば同世代から中高生にも、もっと興味を持ってもらえるように頑張りたいと思います」
――進化し続ける4人の“カラフル”なアンサンブルにこれからも注目したい。
取材・文:東端哲也(2012年8月)