――テキサスのオースティン生まれですよね。音楽都市として名高い街ですが、オースティン生まれ / 育ちであるということは、あなたの音楽性に影響しているのでしょうか。
「影響は大きいと思うな。もし、オースティンに生まれていなかったら、音楽をやっていなかったんじゃないか。それぐらい、この街は僕のなかでは大きい位置を占めている」
――当初からブルースを聴いていたわけではないですよね。
「最初はソウル・ミュージックを聴いていた。親も聴いていたしね。12歳でギターを弾くようになり、それでより広く音楽を聴くようになったんだ。やっぱり、音楽に合わせていろんなギターを弾きたかったから」
――ギターではなくキーボードを弾いていたら、ブルースマンではなく、スティーヴィー・ワンダー みたいな担い手になっていた可能性もあります? VIDEO Gary Clark Jr. - Ain't Messin' Round - [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
――では、ブルースとはどういうふうに出会い、どんなところにひかれたのでしょう?
「イヴという友だちがいて、彼女もギターをやっていたんだ。それで、彼女の15歳の誕生日にブルース・クラブでジャムをやるというので観に行った。そのとき、ブルースって単純な3コード様式なのに、各ギタリストが自分の弾き方でいろいろやっている様にグっときた。僕は14歳だったけど、その瞬間に僕のすべてが変わってしまった。そして、その後、ブルースのアルバムを聴き漁るようになった」
――ヒップホップをやったほうが楽勝で女の子にはモテると思います。なのに、どうしてブルースというイバラの道を選んでしまったのか、と思ったりすることはないですか。
「フフフフ……。友だちとビートを作ってラップをやったこともあったけど。そもそも女の子のことを考えて音楽をやろうとしたことはなかった。音楽をやっているのは、自分を開放できて、自分をまっすぐに表現できるから。それゆえ、聴いてただ踊りたくなったりする音楽ではなく、人生について教えてくれるような音楽をやりたいと思い、僕はブルースを選んだ」
2013年3月18日 daikanyama UNIT (c)Julen Esteban-Pretel
『Black and Blue』
――最新作『ブラック・アンド・ブルー』 を聴くと、いろんな音楽を通ってきている人ならではの、しなやかな広がりがあると思います。ブルースを聴いてきた年配の人には“20代のブルースマンはこういうことをやるんだ”という感慨を与えるだろうし、若い聴き手には“ブルースってこんなに親しみやすいのか”と感じさせるものになっていると思いました。 「美しい意見だね。ありがとう。そうだと、うれしいね」
――やはり、いろんな人にアピールするものになるよう、心がけたのですよね。
「それは、僕にとっては自然な成り行きだった。まわりにいろんな人がいたし、僕は年上の人と交流を持てた。彼らは音楽のことだけでなく、歴史や人生についても教えてくれた。また、ラジオから流れるヒップホップやロックにも親しんできたし、そういうものが僕の音楽には出ていると思う。あらゆる世代に向けようと意図することはなかったけど、環境やまわりの人たちが僕の表現を生んだと思っている」
――ワーナー・ブラザーズと契約する前にインディから5枚のアルバムを出しているようですが、今作で急にあなたに対する注目度が爆発的にあがったように思えます。自分としてはどう感じていますか。
「ここ2年ぐらいの間に徐々に人気が出てきたと感じている。たしかに、いい意味で驚き、圧倒されている部分もあるけど、今は達成感を得ている。今後もミュージシャンとして、ソングライターとして、人として、進化していきたい」
――ブルースはジジイになってもなんら違和感なくできる音楽です。道は長いですね。
「そのとおり。まだ30歳前なので、これからどう進んで行けるのか本当に楽しみだ」
フジロックフェスティバルに出演決定! FUJI ROCK FESTIVAL '13 2013年7月26日(金) / 27日(土) / 28日(日) 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
開場 9:00 / 開演 11:00(終演 23:00予定)
※総合お問い合わせ / オフィシャルサイト
www.fujirockfestival.com