吉川友がオリジナル2ndアルバム『Two YOU』をリリース。ここ数作でお馴染みとなったボカロP楽曲から、新機軸ともいえる和風ロック「恋愛遠慕」、そして「さよなら涙」や「きっかけはYOU!」のアコースティック・ヴァージョンまで、幅広い楽曲にチャレンジした今作についてきっかを直撃! 今回も遭難覚悟で挑んでいます。
――ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』があるなかで、レコーディングしていくのは大変だったんじゃないですか?
「公演が一回の日とかは終わってすぐにスタジオに行って、録って。一回公演の日はほとんどレコーディングが入ってました」
――いかがでした?
「大変でしたよ! でも辛くはなかったです」
――歌を覚えるのは早いんですか?
「はい、歌詞以外は」
――それは早いとは言わないですよね。
「そうですね(歌詞がプリントされた紙を見つめる)」
――相変わらず紙に文字を書き込まれてますね。すごくプロらしい一面ですよね。
「あはは。これは……(電気が一瞬暗くなる)あっ。さっきからこうなんですよ」
メーカー担当者 「何か持ってるんじゃないですか」
「持ってるかもしれない」
――でもオカルトとか興味ないですよね。
「ありますよありますよ、超あります」
――心霊現象とか起きますか?
「そこはまったくないんですけど。何かありますか? 恐い話してください」
――いや、何もないですよ。恐い話を聞くのが好き?
「好きです。恐いですよね。でも話し方ですよね、何事も。(部屋で何かがパキっと鳴る)ええ!?」
――ラップ現象が続いてますね。
「続きますね〜! ここ、いますか?」
メーカー担当者 「聞いたことないですね」
「いやー、話が逸れちゃいましたね」
――吉川さんは逸れるのがいいんだと思いますよ。アルバムの話以外のことを聞きたい人も多いですから。
「でもきっか、最近何もハマってないですよ。舞台始まる前からずっとそうです。趣味がない」
――家に帰ると?
「お風呂入って、足揉んで、寝て、起きて、舞台行って。あ、でもサニーレタスにハマりました」
――サニーレタスのどんなところにハマったんですか。
「食べやすい。食べ応えがある。本番中、もやしをタッパーに詰めて持っていってて、途中で飽きて、サニーレタスになっていきました」
――あ! ダイエットのためですね。
「それです。で、野菜ばっかり食べてるのになんか痩せないなと思ってたら、ドレッシングが太るやつでしたね。結局そこですね。いっぱいかけてるから。あとつまみ食いと」
――お菓子ですか?
「うん。食べちゃってましたね」
――ダイエットする気ないですよね。
「ありますよ!」
――しなくてもいいんじゃないですか。
「ヤバいんですよ。21歳からは有言実行の女になりたいなと。口だけっていうのはやめたいですね」
――行動も伴うようになると。
「行動もする女になりますよ」
――今はダイエット中ですか?
「今は大事な撮影が終わったのでサボってます」
――写真集の撮影?
「写真集含めいろいろと」
――それに向けて頑張ってたんですね。成果は?
「ないです」
――そうですか……。
「ミュージカルの衣装がロングスカートで、お腹あたりまであるんですけど、もう壊しまくりで。ホックが外れたり。日に日にそうなるから、衣装さんに迷惑かけちゃって」
――ブログにも「はちきれた」って書いてましたよね。
「何回もはちきれました」
――基本的には野菜を食べてるわけですよね。それでもはちきれるなんて、おかしくないですか?
「おかしいですよ。おかしい。おかし、い。お菓子、食い」
――うまいこと言いますね。何を食べるんですか?
「チョコレート系ですね。やっぱ疲れてるから」
――今日動いたしって思って食べちゃうパターンですね。
「そうそう! そんなもんですよ、人間って」
――じゃあ今年は有言実行だから。
「そうですね。21歳と半年くらい過ぎてからやります」
――開始が半年先に伸びましたね。では頑張っていただいて。その話題もコンサートのMCでまた触れてもらいたいですね。「スキニーは履かない」とか。
「もう絶対履かない。短いスカートも絶対履かない。足を出さない。黒タイツを履くならいいんですけどね。大変ですね、人間って」
――アルバムにはライヴ録音のアコースティック・ヴァージョンが入ってますよね。生々しくて近い歌声が新鮮でした。
「〈さよなら涙〉は歌い方がちょっと恥ずかしいですね。苦しい感じがする。声質もそうだし、テンポを遅くしたので難しかった」
――「きっかけはYOU!」は?
「好きですね。デビューの頃と比べて声も変わってきて。大人な雰囲気」
――たしかに声が変わりましたよね。
「年取ったのか成長したか。それがどっちかわからないですけど」
――言い方の問題だけの気もしますが、成長しているということですよね。
「成長してます。身体と一緒に。音域の幅が広がるにつれて、身体もどんどん。縦は伸びないのに横が伸びちゃって」
――あはは、そのネタじゃないところで話しましょうよ。
「それしかないんですよ」
――そんなことないでしょう。音域が広がってるのはいいことですね。
「SmileRさんの曲を歌ってからですね」
――そんなSmileRさんとのお仕事以降の、吉川さんの第2章が詰まったアルバムですよね。聴いてみていかがですか。そもそも聴き返すタイプなんですか?
「聴きますよ。特に今回は新曲を覚えないといけないので、新曲ばっかり聴いてます。ライヴが迫ってないときは、たまに聴き直して、いい曲だなって思ったりします。〈ハピラピ 〜Sunrise〜〉はいいですね。元気出ますよ、〈ハピラピ〉。〈ハピラピ〉はいい。あれは落ち込んでる人に聴いてほしいです」
――たしかにいい曲ですよね。ファースト・アルバムの曲ですけども。
「ん? なんですか?」
――いや、今回のアルバムには入ってないですから。
「まぁまぁまぁ、そうですね。でも〈ハピラピ〉は好きですよ。朝ドルって感じでした」
――すごい真顔で強調しますね……。でも聴き返すんですね。振り返らないタイプの人もいるじゃないですか。
「歌に関しては聴きます。画像とか動画は一切観たくないですけど。今回も初回限定盤に映像がついてるの知ってました?」
――もちろん。「きっかフェス6〜ザ・リクエスト・アワー〜」ですよね。舞台裏の発声練習とかも入ってましたよ。
「えー。観てみよう」
――映像はそんなに振り返りたくないと。それはパフォーマンスが気になるということ?
「それもありますし、何事も。誰にも観せたくない」
――ファンの方が観るものじゃないですか。
「いや、きっかの親とか、血が繋がってる人とかが観るのはイヤですね。恥ずかしい」
――ビデオ・クリップ集も出ましたよね。
「ミュージック・ビデオは作り込まれたやつなんで観れるんですけど、ライヴだと生っぽい感じが……恥ずかしい」
――なるほど。でも歌に関してはそうやって紙に書き込むくらい気合が入ってるわけですよね。
「うーん(首を傾げる)」
――傾げないでくださいよ。
「いや、これはレコーディングの時のやつじゃなくて、昨日まとめたやつなんですよ。歌詞の意味の話し合いをして」
――歌詞の意味の話し合いをレコーディングの後にしたんですか?
「ま、昨日」
――順序がおかしくないですか?
「取材も近いし」
――あははは!
「え、何かおかしかったですか」
――取材で答えるために用意したんですね。
マネージャー 「さ……再認識です」
――なるほど、このタイミングで歌詞の意味を改めて考えて。でも、レコーディングの時は、歌詞の意味よりも、発音とかリズムとかメロディの方を重要視するっていうお話でしたもんね。
「歌詞は後からついてくるもんですよ」
――どういう意味ですか……。でもインタビューのための準備をするのは面白いですね。たしかに「ここの歌詞は今の吉川さんだから歌える歌ですよね」みたいなやりとりってよくありますよね。僕もそういう質問することもあるんですけど、吉川さんに関してはいいかなって思ってるんですよ。
「なんでですか! じゃあわかった。はい、いきますよ(紙を裏にして並べる)。どれか一枚引いてください」
――なんですか突然。
「いいから一回引いてみてください」
――ああ、引いた曲の歌詞について答えてくれるということですか? すごいシステムですね……。では、これを。
「あ、きた! 〈TO BE...〉! あははは! 奇跡だ!! これはですね、このアルバムのなかで、きっかが一番大好きな曲なんですよ。すごいのキタよ! これは恋と愛について語ってるんですけど。恋はどうのこうのって。きっかはそこの歌詞が好きですね!」
――急に声がハキハキしてますね。
「恋は簡単なんですって。愛は深いんですって。だから、恋は、岸辺で、愛は、海辺?」
――そんなこと歌ってましたっけ?
「言ってないですけど、たとえですよ。愛は……海の」
メーカー担当者 「沖?」
「沖ってどこですか? 奥? あ、そうそう、愛は沖で、恋は浜辺」
――そのたとえ、わかりにくくないですか?
「あはは。ちょっ!」
――歌詞にある“恋はいつか冷めるもの 愛はずっと育むもの”でいいじゃないですか。
「そうですね、じゃあそういうことで。でも大好きな曲なんですよ」
――それはテンションで伝わりました。紙のメモ書きがいいですね。“女の子が共感する曲”。こう答えるようにメモしてるという。
「そうそう。パッと答えられるように。ふふ」
きっか直筆メモ
――他のインタビューで吉川さんが「女の子が共感する曲ですね」とか答えてたらちょっと面白いですね。手の内明かしていいんですか?
「まぁいいんですよ。はい、じゃあ次」
――また引くんですか。もう普通に曲について聞かせてもらった方が……。
「いいじゃないですか」
――じゃあ話しやすい曲について話してください。
「〈恋愛遠慕〉は和風ロックです。こういう曲が歌いたいって、きっかが言ったんです」
――希望を出したんですね。自分から意見するなんてすごい進化じゃないですか。
「珍しいですね」
――前は言えないって言ってましたもんね。
「ほんとですか? ……ちょっとかゆくなってきちゃった(足をかく)」
――すごいタイミングで入れてきましたね。
「カリカリ音がするから、ばれる前に言おうと思いました。でも21歳を前にきっかも変わってきました。音楽を聴くジャンルも変わってきましたもんね。アイドルからアーティスト行って、洋楽行って」
――どんなのを聴くんですか?
「最近は
家入レオさんとか、韓国モノとか、あとテイリー・パーラー」
――?
――本当に聴いてるんですか?
「聴いてます聴いてます。歌いましょうか? ♪てぃーらーてぃーらーインマイヘッ、チャーリーラーリードンレライ! オーライ!(〈Last Friday Night〉を適当な言葉で歌う)」
――ありがとうございます。じゃあ最近はハロー!プロジェクトのものはそんなに聴かなくなった?
「いや聴いてます。
℃-uteさんの〈Crazy 完全な大人〉とか。かっこいい系が好きなんですよね、やっぱり。〈恋愛遠慕〉もそうですね」
――なるほど。ともかく、「TO BE...」と「恋愛遠慕」が推し曲なんですね。
「いや、全部ですよ!」
――しかし初めてですね。こういうふうにクジ引きのように曲解説してもらうのは。
「どれでも聞いてもらっていいぞということです。予習したんで」
――どれでもじゃなかったですが……。しかも予習も何も自分の曲ですよね。
「まぁまぁまぁ。より深く話せるように」
――あはは。それから「Twinkle Days」も好きな曲ですよね。アルバム本編のラストの曲になりましたね。
「リクエスト・アワーでも2位でしたからね。自分もケータイで投票しましたもん。歌いたかったんです。〈こんな私でよかったら〉は必ず上位に入ってくるっていうのがわかっていたので、あえて入れなかった」
――アルバムの初回盤にはその「リクエスト・アワー」の模様が収録されてますよ。
「そっかー。家帰って観てみよ。その前にDVDプレイヤー買わないと」
――持ってないんですか?
「捨てちゃった。今ないんですよ。いろいろ観たいな、映画」
――また急ですね。最近は映画を観たりする余裕はあるんですか?
「作ればあるんですけど、体が重くて動かない」
――疲れですか?
「疲れが20%」
――残りは。
「身体の実際の重み」
――あははは。やっぱりそこなんですか。
「動きたくないですね」
――どうしても話題がそっちに引っ張られますね。もっとポンポン質問していった方がいいのかな。
「なんでもパシパシ答えます。一言で返します」
――では、「ドラマチック」はどんな曲ですか。
「ホントにドラマチックです」
――「ずっとずっとずっと君がスキだ」は?
「ずっとずっとずっと君がスキだっていうホントに一途な女の子の歌です」
――「ここから始まるんだ!」は?
「聴いたら、ホントにここから始まるぞって思います」
――曲名を言ってるだけじゃないですか。
「あはははは! ちゃんと付け加えてますよ」
――「ホントに」とか。
「でも本当にドラマチックなんですよ」
――「風のようなメロディー」はどんな曲ですか?
「風のようにホントにふわふわと。夢に連れてってあげるぞって曲ですね」
――少しだけアレンジが加わりましたね。
マネージャー 「……無理矢理」
――めちゃくちゃ面白いですね。今回はライヴのために急ぎでフリ入れをしたんですよね。
「はい。すごくせっぱってます」
――そんな言葉初めて聞きましたよ。
「せっぱってます。本当に。爆音で練習ですよ」
――家でも練習するんですね。
「夜はカーテン開けて、ガラス見ながらやってます」
――鏡じゃないっていうのがいいですね。街でダンスの練習してる女の子みたいですね。
「(〈運命〉の歌詞を読みながら)♪これがきっかのーうーんめーい」
――ありがとうございます。
「♪ずっとずっとずっとファンがスキだ〜」
――はい。
「きっかは毎日が〈Twinkle Days〉したいくらい、ファンの人に〈世界中に君は一人だけ〉だよって言われたい。やっぱ〈さよなら〉はしたくないですね」
――続くんでしょうか。
「〈ここから始ま〉りたい。〈ドラマチック〉に。〈風のようなメロディー〉を奏でて、〈ダーリンとマドンナ〉と一緒に〈恋愛〉は〈遠慕〉だよって言って、そんな最後に〈きっかけはYOU!〉」
――終盤は全然わからなかったですね。
「あはははは!」
――今回はこの辺で終わりにしましょう。
「ちょっと待ってください。やればできるんで真面目にやりますよ!」
――そこはわかってます。次からはガチガチな質問を用意して、事前にお渡ししましょうか。
マネージャー 「答えが全部“はい”になりますよ」
「そんなことはないです! 頑張れますよ」
――そうですね。次回も頑張るしかないですね。
「♪それがあなーたーのーうーんめーい」