鉄壁のプレイヤビリティーに裏付けられた、洗練されたロマンティックなサウンドをバックに、甘さとほろ苦さを併せ持った芯の強い歌声で独特の世界観を描き続けてきたシンガー・ソングライター、高田みち子。そんな彼女が、前作『TALES DREAM』から、実に2年半ぶりとなる通算3作目のアルバム『TOKYO GIRLS TALK』を完成させた。


　その“沸々”を具現化させていった末に浮かんできたひとつのキーワード、それが今作のテーマである“TOKYO”。


　例えば、“恋愛の教祖”と呼ばれていた頃の松任谷由実、もしくは今作のサウンド・プロデューサーである、松木恒秀がかつてサポートしていた、山下達郎や吉田美奈子など。当時、ざっくり“シティ・ポップ”と呼ばれていた80年代のアダルトなポップ・ミュージックが放っていたキラキラ感、メロウ感が、『TOKYO GIRLS TALK』に収められた楽曲にもある。






　『TOKYO GIRLS TALK』の世界観は、彼女自身によるリアルな言葉でスケッチされたものでありながらも、高田みち子という一個人のそれを超越した風景を聴き手に抱かせるものだ。この作品から浮かび上がるヒロイン像に自分をあてはめるもよし、イメージの膨らませ方はきっと人それぞれだろう。彼女が小さい頃に感化され、いつの頃からか憧れていた“想像を掻き立てられる音楽”、それがここに実を結んだのである。