結成20周年を迎えたニュー・クール・コレクティヴ。アニヴァーサリー・イヤーに放つニュー・アルバム

ニュー・クール・コレクティヴ   2013/10/04掲載
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NEW COOL COLLECTIVE
“Salud”
オランダのインターナショナルな、雑食性ジャジー・ファンク・バンドであるニュー・クール・コレクティヴが通算14作目となる新作『サルート』をリリースした。そんな彼らは今年で結成20年目となり、この12月には本国でそれを祝うパーティも予定されているという。彼らの20年の歩みとはどのようなものであり、その新作に彼らはどんな意図を込めたのか。東京ジャズ出演のため来日した同バンドの中心人物であるサックス奏者のベンジャミン・ハーマンと、バンドのダイナモ役を担うドラマーのヨースト・クルーンに話を聞いた。
――新作は結成20周年を祝うアルバムと考えていいのでしょうか。
ベンジャミン・ハーマン(以下、ハーマン) 「曲は新しいものが入っているけど、20年も俺たちはやって来たんだゼということを祝おうとするアルバムであるのは間違いない。新作は変則的な内容を持つアルバムで、前半は新曲が並び、後半には映画のサウンドトラックのために録った曲を入れている。まあ、レコードにおけるA面とB面と言った感じかな」
――本当にいろんな曲調のものが入っていると思いました。これまであなたたちが披露してきたいろんなヴァリエイションを括ろうという意図はあったのでしょうか。
ヨースト・クルーン(以下、クルーン) 「それはなかったな。ぼくたちの今を素直に入れようとした。サントラの曲だと、多様な広がりを持たせるものにもなるしね。でも、ブックレットについては、見てもらえば分かるように、写真で僕たちの歩みを総括するものになっている」
New Cool Collective - KoninginneNach Den Haag 2012 Live optreden


photo: Yoshihiro Kamewada
――アルバムには21曲も入っていますよね。ゆえに短めの曲が多いですが、それは留意したことでしょうか?
ハーマン 「それについては、考えなくはなかった。映画のために作った曲もあったので、今回は2枚のアルバムが作れるマテリアルがあったので、新作はできるだけ曲を詰め込んじゃえと思ったんだ。そのほうが、聴く方もうれしいでしょ?」
――アルバム・タイトルには、どんな意味をこめているんですか。
クルーン 「乾杯(サルー)のことさ。そこには、やはりニュー・クール・コレクティヴが20年やってきたことに対する気持ちが表れている」
――この20年で変わったことと、変わらなかったことを、それぞれ教えてください。
ハーマン 「楽器の編成は変わらない。そのヴェリエーションのなかで、20年間コツコツやってきたと言える。でも、やっていることはいろいろと変化していると思う。最初は聴きやすい時代があって、クラブっぽい時代もあったし、アフリカン・ミュージック色が強く出た時期もあった。振り返れば、いろんなピリオドがあったと思う。それで、やはり今回のアルバムはそうした僕たちのいろいろな動きがミックスされたものになっているんだろうな」
クルーン 「普通、バンドって2、3枚アルバムを出すと、そこでどうしても進歩が止まってしまう。その点、僕たちはアルバムごとに様々なキャラクターを持たせることが出来たのは間違いない。最初の成果に飽き足らず、好奇心旺盛に事にあたってきたというのが、僕たちの真価であり、僕たちの歩みだと思うな」
ハーマン 「それから、日本に来たことが僕たちにとって大きな出来事だった。日本に来るようになって、日本の新しいジャズ・バンドに触れて刺激を受けた。たとえば、SOIL&“PIMP”SESSIONS とかね。ああ、僕は彼らに限らず、日本のジャズが大好きで、来るたびにいろいろCDを買っているんだよ!」
photo: Yoshihiro Kamewada
――ところで、ベンジャミンはソロ活動もしていて、リーダー作もいろいろ出していますが、新作『カフェ・ソロ』はピアノレスのトリオでのぞんだジャズ・マンの矜持あふれる仕上がりで驚かされました。
ハーマン 「ソニー・ロリンズが大好きで、彼がやっていたようにぼくもピアノレスのトリオでストレートにやってみたかった。それはもう集中してレコーディングしたし、有意義なものが出来たと思うな」
――ソロ作でのあなたと、ニュー・クール・コレクティヴでのあなたが同一人物であることに驚く人もいると思います。でも、それこそが音楽の素敵であり、あなたの力量だと思います。
ハーマン 「ありがとう。別の方向を向いていることを1人のミュージシャンがまっとうするというのは難しいけど、やりがいがあるよね」
クルーン 「僕がベンジャミンについて思うのは、彼は自分のスタイル、自分の音やリズムやエナジーを持っていること。だから、何をやろうと、ベンジャミンの音楽であり、ニュー・クール・コレクティヴの音楽だと分るよね」
取材・文 / 佐藤英輔(2013年9月)
[プレゼント]
ベンジャミン・ハーマン“カフェ・ソロ・ツアー2013”
東京公演 2組4名様


ベンジャミン・ハーマン“カフェ・ソロ・ツアー2013”東京公演にCDジャーナル読者2組4名様をご招待いたします。“ご意見・ご感想”欄にご希望の公演時間をご記入いただき、応募フォームより奮ってご応募ください。
※2013年10月11日(金)締め切り


2013年10月21日(月)
東京 丸の内 COTTON CLUB

〒100-6402 東京都千代田区丸の内2-7−3 東京ビル TOKIA2F

1stステージ
開場 17:00 / 開演18:30
1組2名様ご招待

2ndステージ
開場 20:00 / 開演 21:00
1組2名様ご招待

[公演詳細]
www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artist/benjamin-herman


ベンジャミン・ハーマン
“カフェ・ソロ・ツアー2013”
ベンジャミン・ハーマン(sax)
エルンスト・グレラム(b)
ヨースト・パトッカ(ds)


■ 10月14日(月)
横浜 Motion Blue yokohama
045-226-1919

■ 10月15日(火)
大阪 西梅田 Mister Kelly's
06-6342-5821
ゲスト: 加納新吾(p)

■ 10月17日(木)
沖縄 宮古島 Book Cafe BREATH
090-9236-5970

■ 10月18日(金)
沖縄 那覇 Parker's Mood
098-42-6440

■ 10月19日(土)
静岡 袋井 Cafe MAMSELLE
0538-42-6440

■ 10月21日(月)
東京 丸の内 COTTON CLUB
03-3215-1555
ゲスト: 片倉真由子(p)
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