1990年4月にメジャー・デビュー。2ndシングル「危険な女神」がカメリアダイヤモンドのCMに使われ、その後は音楽シーンの第一線で活躍していたKATSUMI。2000年代はウルトラマンの歌を歌うユニットのProject DMMへの参加や、他アーティストのプロデュース、楽曲提供などを中心に活動。そんな彼が10年ぶりにKATSUMI名義でのオリジナル・アルバム『Seeds of Love』を発表した。本作について語ってもらった。 「危険な女神」(90年)、「Just Time Girl」(91年)、「It's my JAL」(91年)などのヒット・チューンを連発、90年代のシーンを席捲したKATSUMIが、じつに10年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Seeds of Love』を発表。“ゴージャスな楽曲とハイトーン・ヴォーカル”というイメージが強い彼だが、本作ではスロウ〜ミディアムなナンバーを中心に置き、シンガーとしての成熟ぶりを伝えている。
「非常に月並みな話なんですけど、お客さんが要求するものが自分にフィットするときと、“これがホントにやりたいことなのかな?”って思うときがあって。いまは派手なものというよりも、じっくりと歌詞を伝えていく曲を歌いたいんですよね。今回のアルバムはシックというかスロウばっかりというか、かなり落ち着いた雰囲気なんですけど、それも自然な流れかな、と。ここ数年、アコースティック編成のライヴをやってきた影響もあるだろうし。ただ、髪の毛だけはウェービーに戻しましたけどね。そうしないと、KATSUMIだってわかってもらえない可能性があるので(笑)」
「日々の生活のなかで疲れてしまっている人への応援歌」という「願い」、弱さを受け入れることの大切さをメッセージする「恋心」。このアルバムで彼が描いているのは、人生のなかにある葛藤、悲しみをしっかり受け止めながら生きようとする人々――そこにはもちろん、KATSUMI自身の姿も投影されている――に向けた、切実で生々しい歌だ。とくにどこかクラシカルな雰囲気を持つタイトル・チューン「Seeds of Love」、そして、アルバムのラストを飾る「ありがとう。」がもたらす余韻は、聴く者の感情をしっかりと揺らすことになるだろう。
「〈Seeds of Love〉は、“ちょっとした思いやりが、もうちょっとあってもいいんじゃないか。心のなかに愛を育ててほしい”という気持ちから書いた曲。〈ありがとう。〉は、いままで僕を支えてくれた人たちや、ぜんぜんアルバムが出ないのにずっと応援してくれてるファンの方々に向けたメッセージで、いまの自分が一番伝えたい歌です。子供の頃から、“なんで生きてるんだろう?”なんていう疑問を持ってるタイプだったんですよ。そういうテーマを、歌のなかでポップに表現できたらいいなっていうのは、ずっと考えてきたことだし。エンタテインメントとしてのキラキラした感じも残しつつ、“生きること”だったり“愛情”を歌っていけたらいいですよね」
セールス、ビジネス的な側面がますます強まっていく2000年代のなかで、自分の音楽性をじっくりと育てながら、誠実な活動を続けてきたKATSUMI。良質のAORアルバムともいえる「Seeds of Love」によって彼は、そのアーティスト性を(おそらく、初めて)ストレートに示すことに成功したのかもしれない。
「結果も責任もすべて自分に返ってくる状況は、すごく清々しいんですよね。自分に素直に音楽を作っていくこと。そこがちゃんと守られていれば、それでいいと思うし。いろいろ悩むことはありますけど、勝負はしやすいなって思ってます」
取材・文/森 朋之(2008年2月)
<KATSUMI ライヴ情報>
インストア・ライヴ&サイン会
【日程】 3/9(日)
【会場】 HMV横浜ビブレ/イベント・スペース
【時間】 15時スタート
※HMV横浜ビブレ店にて『Seeds of Love』購入者に、先着でサイン会参加券を進呈
※入場フリー
※詳しくは
オフィシャル・サイトにて
ピュアミュージック '08 『スプリングセッション』
【日程】 4/24 (木)
【会場】 川崎クラブチッタ
【開場/開演】 18:30/19:00
【チケット】 前売5,250(税込)/全席自由(ドリンク代\500)
【出演】 杉真理 / 村田和人 / 伊豆田洋之 / 山本英美【ゲスト】KATSUMI
※お問い合わせ:CLUB CITTA' 044-246-8888(月〜金:12:00〜19:00)