安藤裕子の2008年の第1弾シングルは、“明るく生まれ変わりたかった。そしてもっと強くなりたい”というポジティヴな気持ちから生まれた、爽快なアップ・テンポ・ナンバーに。そして、シングルのカップリングでは恒例となっているカヴァーは、早瀬優香子の「セシルはセシル」を収録。本作について話を聞いた。 映画
『自虐の詩』の主題歌
「海原の月」を2007年10月に発表した安藤裕子。その愛情に満ちた温かい歌声が印象的なゆったりとしたナンバーから一転、3月19日にリリースされるニュー・シングル
「パラレル」は彼女の作品至上もっとも速い(BPM160!)、高揚感あふれる曲となった。“走れよ 風を切って……”といったポジティヴな言葉に勢いを与えるかのように、クールなサウンドが寄り添う楽曲の世界観はじつに清々しい。前に進み、周りを見渡せば、幸せが身近にあることに気付く――そんなシチュエーションの本作は、あらゆることへの悲しみも払拭してしまうような、力強い覇気に満ちている。
「率直にお答えすると、明るい曲が作りたかった。だからあえてコードから作ったりして、他人を媒介させたんです。部屋に一人きりでいると、なんだかゆったりと低温度な曲ばかりが出てきてしまって……。私は明るく生まれ変わりたかったんです。そしてもっと強くなりたいと思っている。そういった気持ちの現れでしょうかね。いつもはお家や道ばたで一人作業をするのですが、今回はプリプロ・ルームに篭もってアレンジャーとディレクターと3人でコードを決めてから作りました。ループしたコードに生まれる歌を並走させて完成したわけです」
歌とコードを並走(=パラレル)させて完成したこの曲は、レコーディングもじつにスムーズに終わったという。
「とても気持ちの良いレコーディングでした。デモのときには感じることのできなかった“何か”をくれた収録になったと思います。ドラムの佐野(康夫)さんがカウントした途端、この曲の力強さが私にもよく理解できましたし、音あわせを入れて2回目くらいには“このテイクがいいね!”って皆が思った。ちょっぱやです。清々しいねえ!」
繊細な曲の世界観を見事に表現しているPVも必見。アクティヴな体の動きや切ない表情などで、ポジティヴな言葉とその裏にある悲しみや不安といった感情の機微も見て取れる仕上がりだ。
「PVは素材をたくさん撮って、他のシーンもたくさんあったんですが……。“歌のシーンが一番強い!”ということで他は全部カットになりました……。撮影に参加してくれた小さな男の子がいたのですが、申し訳なかった……。ごめんねー。結果、曲の底に隠れているマグマのような感情をよく表現しているPVだと思います」
カップリングには、80年代後半にアンニュイなヴォーカルで一世を風靡した早瀬優香子のカヴァー「セシルはセシル」を収録。
「昨年初めまでラジオのDJをしていたのですが、その時に出逢った一曲です。非常にキュートで一目惚れならぬ、一聴き惚れ! 歌唱方法としては“
高橋幸宏さん風”。早瀬さんご自身もディレクションからなのか、少しメロディを拍より後に置いているんです。それを再現したくてやってみたのですが、どうもあざとくなってしまう。私も汚れちまったなぁ(笑)。みんなが止めるので少しだけ臭わす程度で諦めました」
6月7日からは全国ツアーも決定。「パラレル」で見せる燃え上がる気炎とともに彼女の美しいパフォーマンスをぜひ体験してほしい。
取材・文/清水 隆(2008年3月)
安藤裕子 LIVE TOUR 2008 全国ツアー決定!
2008/6/07(土) 東京・SHIBUYA-AX
2008/6/14(土) 仙台・Zepp Sendai
2008/6/21(土) 札幌・PENNY LANE 24
2008/6/26(木) 広島・クラブクアトロ
2008/6/28(土) 大阪・なんばHatch
2008/6/29(日) 大阪・なんばHatch
2008/7/05(土) 福岡・Zepp Fukuoka
2008/7/12(土) 名古屋・Zepp Nagoya
2008/7/20(日) 東京・渋谷C.C.Lemonホール
※詳しくは、安藤裕子公式HP(
www.ando-yuko.com/)へ。