90年代から00年代初頭にかけ、
竹村延和主宰「Childisc」などから作品を発表した大阪出身の音楽家、
Hyuの作品群を解読するコンピレーション『
Inaudible Works 1994-2008』が、大阪の音楽レーベル「EM RECORDS」の2024年第1弾作品として2月16日(金)にCDと2LP&DLコードで発売されます。
本作は、
ヘンリー川原『
電脳的反抗と絶頂』やスリン・パークシリ『
スリン・パークシリの仕事集』シリーズ、
サイケアウツ『
逆襲のサイケアウツ』と並び、「EM RECORDS」の重要アーカイヴ・リリース。ヒウは「エレクトロニカ」という曖昧な言葉で括られてきた世紀末世代の音楽家の一員で、その実体はほとんど謎のまま。しかし、作品は多くの点で際立っており、微分音のユニークな探求、音楽テクノロジーを人間化する能力、軽快さと遊び心とコンセプチュアルな厳密さを併せ持ち、独特の創作物は時間の風雪をものともしません。
本コレクション『Inaudible Works 1994-2008』は、多くの未発表曲と過去にリリースされた諸作の新ヴァージョンや再編集版で構成され、新作とアーカイヴの中間のような存在。楽曲は多岐にわたり、微分音ドラムンベーステクノもどき、人声合成技術の疑似ロボ・ポップ、ヴォイスと発電機のドローン重奏、破砕し分裂したファンク、感覚過多のスイングするサンプルの集合体、サイン波を単子とする構想、常軌を逸した倍音の追求、文学にインスパイアされた無調ピアノ曲、自己言及性の極に生まれたJポップなど、目も眩むユニークな作品がひしめいています。すべてが特徴的で知的、その多くに先見の明があり、ジャンルの拘束からも超越。音楽を創造するだけでなく、音楽を創造する方法も創造したいという欲求に突き動かされているのが伝わります。本人による楽しく啓発的な解説も必読。装丁は虚木へずが担当しています。