夜の部は当日朗読劇化された楽曲『see me』を歌うSUIRENがアコースティック編成でオープニングアクトを務めた。鍵盤の音色と青いライトに照らされた海に2人のシルエットが浮かぶとSuiが「SUIRENです。よろしくお願いします」と挨拶し、昨年11月に発表されたゲーム『STAR OCEAN THE SECOND STORY R』メインテーマソング『stella』を演奏。持ち前の力強くも儚いハイトーンで圧倒し会場を惹きつけると、「(昼の部/朗読劇で)僕たちの曲を使ってもらったんですけど、僕も見ていて、あんなに素敵な皆さんの朗読劇を聞かせていただいて本当に感激だし、感動した。僕たちのインディーズ時代の大切な曲です」と述べ、『see me』を披露。ラストはTVアニメ『キングダム』第4シリーズオープニング・テーマの『黎-ray-』で締め括った。確かな歌唱力と情感豊かで繊細なピアノの余韻で昼の部からの感動も引き上げてくれる見事なアクトだった。
さらに「カバーしか歌えません!」と笑いを誘って登場した林勇は、バレンタインも近いということで、ラブソング『恋だろ』(wacci)を熱唱。美しく韻を踏み、丁寧に歌い上げた。そしてソロステージのクライマックスは『ダンスホール』(Mrs. GREEN APPLE)。個人のYouTubeチャンネルでも同曲を歌唱したことがありお気に入りの様子で、圧巻の歌唱力とパフォーマンスでその存在感を放った。個性豊かなライブステージにヒートアップした場内は笑顔であふれ、自由に音楽を堪能する姿が最高だった。
コラボステージでは続いてもMrs. GREEN APPLEの楽曲『ロマンチシズム』で林&広瀬が王道のポップス2曲を披露。普段から仲が良いだけに見事なハモリを見せ、その姿にハンドクラップが巻き起こった。ライブ後はYouTubeで2人で歌った林が、『ロマンチシズム』の収録がじつは大変だったという制作秘話を話した。
音楽に造詣も深く、何よりも、誰よりも、それぞれが音楽を楽しんでいたキャストたちは、ファンの中でも「歌唱」に定評のある声優だからこそ織りなせるハーモニーや表現力があり、唸るものがあった。林は最後に「声優でしかできない朗読と歌でこのイベントをやって…ポップスをカバーできたのも良かったし、皆に愛されるイベントになったら良いな」と、ここに誕生したばかりのイベントを祝し、「また次の『BEYOND the V』で会いましょう」と約束した。
TEXT BY 後藤千尋 PHOTO BY 石丸敦章、Hair&Make-up by Ayane・相川ニコ