脚本家・倉本聰が“遥かなる北の大地”から贈る、心温まるヒューマンストーリーの傑作と呼ばれるTVドラマ『遠い絵本 第一部・第二部』『時計』『あぁ！新世界』の3作品、計4話がDVDで12月25日（水）に発売されます。

　『遠い絵本 第一部・第二部』『時計』『あぁ！新世界』は、昭和50年代（1975〜1979年）に北海道放送（HBC）制作、TBS系列・日曜劇場で全国放送された作品で、令和の時代になって初めてDVD化されます。『遠い絵本 第一部・第二部』（昭和54年［1979年］）は、2週連続で放送され、その後HBCでも再放送がされたことがない貴重な作品で、池部良、八千草薫、若かりし頃の大竹しのぶ、三田村邦彦らが出演。国際結婚を経て、小樽からアラスカに移り住んだ冴子（八千草薫）は、勤め先のアンカレッジ空港でかつて恋仲だった商社マン・五郎（池部良）と30年ぶりで再会します。愛し合いながらも戦争を機にすれ違ってしまった男女の心情を倉本聰が描いた作品。かつての恋人に想いを寄せる女性を演じる八千草薫がとにかく美しく、また、当時の地方局としては異例ともいえる海外ロケを敢行し、第二部では現在は観光地となった小樽運河の存続問題に揺れていた街が舞台となっています。

　『時計』（昭和52年［1977年］）は、明治初年の北海道を舞台に1人の殺人犯、2人の追っ手、山奥にひとり住む女。4人の男女を描く重厚な作品。出演はフランキー堺、渡瀬恒彦、桃井かおり、宮口精二。家を焼かれ土地を取られた文吉（渡瀬恒彦）が自分の妻を殺害し森へと逃げ込み、箱館戦争の生き残りの元御家人・高山久蔵（宮口精二）と明治新政府の兵卒・中西銀次（フランキー堺）が追う中、粗末な小屋にひとり住む女・しお（桃井かおり）のところで一夜を明かすことになりますが、しおを追いやった馬小屋を見に行くと身を潜める文吉を発見します。悲しくも切ない人間模様を悠久の大自然・北の大地の中に描き出す傑作です。

　『あぁ！新世界』（昭和50年［1975年］）は、まもなく放送から50年を迎える貴重な作品。出演はフランキー堺、南田洋子、藤原釜足、山本麟一ら昭和の名優たちが名を揃えています。五郎（フランキー堺）はかつて東京の交響楽団メンバーでしたが洋子（南田洋子）と結婚して北海道の地方の町に暮らしていました。ある日、札幌で開かれる演奏会でシンバルを演奏しないか…という依頼が舞い込みます。ドボルザーグの交響曲第9番「新世界より」の曲中に鳴るただ1回のシンバルを演奏するため、高まる緊張を抑えながらシンバルを手に懸命に練習を行います。志半ばで大好きな音楽を捨て10年、満たされぬ毎日を片田舎で送っていた一人の中年男の悲しさ、おかしさ、素朴な村人と愛すべき妻とのふれあいをフランキー堺が独特の演技で作品を際立たせています。

　現在のTVドラマとは全く違う手法で作られた昭和の傑作を令和に、時の流れ、世情の移り変わりも感じながら、ぜひじっくりお楽しみください。DVDの予約・購入は発売元の北海道放送（HBC）の公式通販サイトをはじめ、全国のDVD取扱いのあるお店や、インターネットで購入することができます。