生誕120年を迎えた偉大なコメディアン、エノケン=
榎本健一の作品を現代版として再生する演劇公演『エノケンMIX』が、2025年1月24日(金)〜1月26日(日)の期間、東京・浅草九劇にて上演されます。
『エノケンMIX』は、単なる再演や記録公開ではなく、現代のさまざまなアーティストが集まり2025年ヴァージョンの「エノケン」劇をつくることを目指したもの。出演者は、渕上純子、西本さゆり、
武村篤彦、ウエッコ、上の助空五郎、大熊ワタル、木村美保、榛名珠利、藤城伶維、紬希彩華、光瑠葵、
粕谷雄太、村野みり、越後静月、山内菜々子、鈴木海人、薮田凜。音楽と演奏は、
山田参助とG.C.R.サロンオーケストラ、
青木研、
大谷能生が務めます。
公演は全体120分が3ブロックに分かれており、第一部“浅草オペラ『地獄祭り』”では、若かりしエノケンがコーラスボーイとして舞台デビューした「浅草オペラ」の演目から当たり舞台『地獄祭り』を当時のSPレコードで保存されている後半部分を中心として構成し約100年ぶりに上演。
第一部からノンストップで、第二部“戦前ジャズ演奏と歌唱”では、山田参助とG.C.R.サロンオーケストラによる戦前にエノケンが歌った曲や当時のジャズ音楽を演奏。
そして、第三部“軽演劇『ミュウジック・ゴオズ・ラウンド』Remix版”では、エノケン全盛期であるピエル・ブリヤント時代の重要な脚本家として知られる菊谷栄(1902ー1937)によるアメリカ文化を濃厚に反映した「ミュウジック・ゴオズ・ラウンド」(1936年浅草松竹座初演)に、先行作品「公園のベンチ」をないまぜにし、新たに音楽を大谷能生が、改訂台本を和田尚久が執筆し90年の時代を超えて1936年と2024年が融合する、まさに“エノケン・リミックス”な演目を上演します。
また、公開に先駆け、12月26日には浅草公会堂にて記者発表会が開催。会見には、主要スタッフと第三部『ミュウジック・ゴオズ・ラウンドRemix版』の出演者が出席し、本公演の企画意図や公演に向けての意気込みが語られました。
[『エノケンMIX』記者会見レポート] 2025年1月に浅草九劇にて上演される『エノケンMIX』の記者会見が、25日午後、浅草にて行われた。この公演は「日本の喜劇王」と呼ばれたエノケンこと榎本健一の生誕120年にあたり、エノケンゆかりの浅草オペラと1930.年代のジャズと軽演劇を三部構成の2時間に詰め込んで見せる企画。会見には主要スタッフと第三部『ミュウジック・ゴオズ・ラウンドRemix版』の出演者が出席し、本公演の企画意図や公演に向けての意気込みを語った。
企画者で第一部浅草オペラ『地獄祭り』上演台本の保利透は戦前のジャズを中心としたCDレーベルぐらもくらぶ主宰。今年、エノケンソングを網羅した二枚組CD『エノケンの浮かれ音楽』も発売した。本公演ではエノケンが活躍した聖地浅草での上演にこだわったという。第三部上演台本と美術を担当する和田尚久は放送作家で落語やお笑いなど大衆芸能にも詳しい。ちょうどこの企画を立ち上げた頃、ジャズ評論家の故・瀬川昌久氏の遺品整理をしていて『ミュウジック・ゴオズ・ラウンド』の脚本の複写を発見し、運命を感じたという。この作品は日中戦争で若くして戦死した劇作家、菊谷栄のヒット作の一つだが、名のみ知られる作品であった。
演出の山口貴義は「第三部ではエノケンが演じた学生トムの役をあえて女性に演じてもらうことで、エノケンのイメージに引っ張られることなく、作品世界の魅力を再生できると考え、越後静月さんにお願いしました。エノケン独特の身体と存在の「軽さ」も女性の方が出しやすいはず」という。
「エノケンMIX」は、内容だけでなく出演者もさまざまなジャンルから選ばれた「ミックス」だ。SKD(松竹歌劇団)出身で、現在「STAS OG 東京レビュー」代表である榛名珠利は得意のダンスで華を添える。「エノケンさんと同時代に浅草で人気を博したSKDの伝統を活かして浅草のにおいを舞台に加えたい」。エノケンの大ヒット曲「月光価千金」を舞台で踊ったこともあるという。
同じくSTAS OG 東京レビューの若手スター、藤城伶維は「今回このような企画に参加できて大変うれしく舞台に立つのが楽しみです。わたしはレビューも浅草の古き良き雰囲気も大好きなので、その世界観を精一杯表現したい」と意気込みを語った。
『聖闘士星矢』『刀剣乱舞ONLINE』などアニメやゲームで活躍中の声優、粕谷雄太は「普段はマイクの前で声だけで演じていますが、演じるという意味では声優も舞台も根本は同じだと思います。朗読劇などと違って今回は台詞をしっかり覚えないといけないので、まずはそこから頑張ります」と笑わせた。
新進俳優の越後静月は「今回エノケンさんの演じたトム役に挑戦させていただくことは大変光栄で身が引き締まる思いです。男役は初めてなので一から研究して越後静月のトムを作りたい」「マイアミの砂浜を一人で散歩する場面のイメージ作りに先日、逗子に行って一人で何時間も砂浜を歩きました」と笑顔で語った。
また、第三部では、ジャズのサックス奏者で多くの著作を持つ批評家でもある大谷能生が音楽を担当。終始舞台上にいて、音出しやCDJ、サックスの生演奏を披露するのも大きな特徴だ。それによって毎公演、演技のタイミングが変わり、ライブ感が増す効果があるという。
「エノケンMIX」は2025年1月24日から26日、浅草九劇にて上演。前売はチケットぴあ、Paskipにて発売中。