芸能人や文化人が齧ったいわゆる「七五調ラップ」に異を唱え、今日の日本語ラップの基礎を築いた黎明期の立役者CAKE-K。マイクを握った遅咲きのピカソが実に20年振り通算2枚目のアルバム『TIME IS UP』をリリースしています。
高校生時代、同級生と実弟とでブレイキン・クルー“MYSTIC MOVERS”を結成。当時のヒップホップ・アイコン“ロックステディークルー”に憧れ、彼らがラップもしていたことから見様見真似でラップを始めたのが1985年。代々木公園の歩行者天国でパフォーマンスを開始し、1987年仲間が主催したヒップホップ・イベントで初めて本格的なラップを披露しました。
その後伝説のラップ・ユニット“
B-FRESH”での活動期間を経て2004年に初のソロ・アルバムをキング・レコードからリリース。変貌を遂げるこの国の日本語ラップ・シーンを横目に沈黙を続け、2023年に自ら音楽レーベル「boomista」を設立し、完全復活の狼煙を上げます。本アルバムはそんな2023年から再開したリリース活動の集大成といえます。
気になる内容は、未発表曲(2024年時点)を含めた全12曲。うち既存曲のアルバム・ヴァージョンが5曲。捨て曲一切ナシ、2枚目にして事実上のベスト・アルバムと言っても過言ではありません。日本語ラップ黎明期のトップを走り抜けたMC歴39年の老君が最終集団から巻き返しを図ります。
“準備は整った待ったナシ! 正に『TIME IS UP』!”。