長編初監督作品『
PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミー賞日本代表として選出、さらに第16回アジア・フィルムアワード、中国最高賞と言われる第35回金鶏奨、第58回シカゴ国際映画祭他、世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた
早川千絵監督の最新作『ルノワール』が6月20日(金)より全国ロードショー決定。この度、出演者などのコメントが公開されています。
前作『PLAN 75』では、高齢化社会が深刻化した近い将来の日本を舞台に、75歳以上の高齢者に生死の選択を迫る衝撃的な物語を描き、現代人に激しい警鐘を鳴らした早川監督。生きることを問いかける力強いメッセージが、多くの観客の胸を打ち、日本国内では第65回ブルーリボン賞 監督賞&主演女優賞、第77回毎日映画コンクール 脚本賞、第46回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞&優秀脚本賞を受賞するなど、同年の映画賞を総なめにしました。最新作『ルノワール』は、日本 / フランス / シンガポール / フィリピン / インドネシアの国際共同製作作品。各国の映画祭・映画人も注目する早川監督の最新作が世界を舞台に動き出します。
本作で綴られるのは、1980年代後半のある夏。11歳の少女・フキの物語。マイペースで想像力豊かなフキは、空想にふけりながら、それぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合います。子供特有の感情を細やかに描写すると共に、フキが関わる大人たちの人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出します。観る者は、自分にも覚えのある子どもならではのひりひりとした感情と、今の自分に似た大人たちの孤独や痛みに共感し、激しく心を揺さぶられるでしょう。
早川監督は本作の公開に際し「うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。そこに『哀しい』が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています」とメッセージを寄せました。
主人公・フキを演じるのは鈴木唯。役柄と同様11歳だった彼女は、多数の候補者の中からオーディションで主演に大抜擢されました。真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スクリーン一杯に広がる彼女の瑞々しい演技に誰もが心奪われます。フキの母・詩子役に
石田ひかり、父・圭司役に
リリー・フランキーと、数々の映画賞を受賞してきた名優に加え、フキが出会う大人たちには、
中島歩、『PLAN 75』に続き
河合優実、
坂東龍汰ら大ブレイク中の若手実力派俳優陣が出演します。
[コメント]うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。
そこに「哀しい」が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。
子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています。――早川千絵 / 監督・脚本映画『ルノワール』でフキを演じた鈴木唯です。映画の主演が決まったときは、「え?!本当!」と、とても驚きました。フキは不思議な感じの子で、演じることは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです。早川監督とみんなで一緒に作った映画「ルノワール」に、少しでも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです。――鈴木唯ずっと楽しみにしていた『PLAN 75』を、初日の初回で観ました。あの時の衝撃は、今でもいくらでも話すことができるほど、くっきりと心に残っています。監督に直接、その想いを伝えることが出来ただけで満足でしたが、「早川組」の一員として過ごした日々は、本当に夢のようでした。終わって欲しくなくて、始まってもいないのに、クランクインが来て欲しくないと思った作品は初めてです。
日本語と英語、フランス語とジョークが飛び交う、楽しくおしゃれで刺激的な現場でした。娘役の唯ちゃんは、どの瞬間も純粋でなに色でもなく、教えられることがたくさんありました。夫役のリリーさんは、減量を続けながらの撮影で本当に大変だったと思いますが、控え室でも現場でもとびきり楽しい話をして、私たちをいつも笑わせてくださいました。夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様の元へ巣立っていきます。多くの方の心に、届きますように。――石田ひかりこの少女の一瞬に、美しさと儚さ、生活と時間、脆さと希望。様々な星屑がきらめいていて、撮影をしながらも、名作の誕生に携わっている名誉を感じていました。――リリー・フランキー昨年の恐ろしく暑い夏の撮影を振り返ると、はじめに早川さんの姿や声が思い浮かびます。
僕は彼女が感じている世界の一部であったように思えてくるのです。
懐かしく寂しく美しい世界に、潜るような映画体験になるでしょう。
ぜひ劇場でご覧ください。――中島歩1日だけの参加でしたが、早川千絵監督の人柄が滲み出ているような、あたたかく、純粋で、細やかな仕事の集まった現場だなと感じました。その中で慎重に、自分にできることをしました。この映画にお力添えできて嬉しいです。まだ完成を観られていないのですが、早川監督の内にあるものから生まれた新たな世界と、鈴木唯さんのまだ何にも縛られない自由な魂がきっと映っていることと信じています。――河合優実早川組に初めて参加させていただき、とても嬉しかったです。今まで経験した現場とは少し違い、いろんな国のスタッフの方々との現場づくりはとても新鮮で刺激的でした。僕は唯さんとのシーンが多かったのですが彼女の持つ不思議な魅力にちゃんと反応できるように、そして現場での状態を柔らかく保てるように心がけました。これからこの映画を見てくださる方々にどのように受け取っていただけるのかとても楽しみです。――坂東龍汰©2025『RENOIR』製作委員会+International Partners