ヘンリー・カウをはじめ数々の音楽プロジェクトを遂行してきた
ティム・ホジキンソン(Tim Hodgkinson)と、
水玉消防団や
フランク・チキンズなどで活躍したカムラアツコによる共演作『Haiku In The Wide World(俳句、その拡張された世界)』がCDと2枚組LPで4月11日(金)に発売予定となっています。
カムラとホジキンソンが日本語と英語で吟じ詠う俳句を、ホジキンソンが作曲した音楽の枠に収め、多彩で変化に富んだ器楽音響集合体へと「拡張」を試みた本作。17世紀から20世紀にわたる37の俳句のテキストを取り上げ、長い歴史を持つ日本の文学形式に敬愛を込めて、これらの短い詩句を音楽芸術の領域に持ち込み、音の相互関係の拡張されたネットワークの中に据えています。
演奏ではホジキンソン自身のクラリネットをはじめフレンチ・ホルン、ヴィオラ、ヴァイオリン、チェロ、アコースティック・ギターが用いられ、鮮明に録音された音源を使用。声と楽器の音は詩的なイメージと融合し、それぞれが光を投げかけ、影を落とし、隠された意味を明らかにし、作品の総体と共鳴し合います。
作曲において、ホジキンソンは、俳句の本歌取りや取り合わせといったレトリック、連歌師の手法にみる多様かつ急激な世界展開に照応した幅の広い音楽語法を選択。また、俳句の日本語と英語訳がさらなる意味、共鳴、コミュニケーションの層を提供しており、その英語訳の俳句をホジキンソンに送った英の詩人・ハリー・ギロニスとの交流がこのプロジェクトの発端となったそう。ホジキンソンやカムラがこれまでに成し遂げてきたものとは明らかに異なる比類亡き内容に加え、『Haiku In The Wide World』の成り立ちを綴ったホジキンソンの解説も必読です。