今年6月に行なわれたフランス映画祭にて上映され、その前衛的映像スタイルで衝撃を与えたフィリップ・グランドリュー監督作品、ドキュメンタリー映画『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう / 足立正生』が、12月1日(土)より東京・渋谷アップリンクで公開されます。
フィリップ・グランドリュー監督は、パリのポンピドゥセンターのシネマテークや、コペンハーゲン・ドキュメンタリー映画祭で特集上映が組まれるなど、ヨーロッパでも異色の前衛監督として知られた存在。
そして
足立正生は、1960年代に
若松孝二の若松プロに参加し、『堕胎』『略称・連続射殺魔』『赤軍−PFLP・世界戦争宣言』などを監督。その後、日本赤軍として国際指名手配されレバノンで逮捕勾留後、日本へ強制送還。2007年には、日本赤軍メンバーの岡本公三をモデルにした『幽閉者 テロリスト』で35年ぶりに監督をつとめています。
足立が語る映画と革命についての言葉を、グランドリューが撮影する独特の詩的映像に定着させることに成功した本作、その中で足立は「革命なのか映画なのか、僕にとって全くひとつつのことだった」と、自らの過去を振り返っています。
なお、タイトルは、ドストエフスキーの「美が世界を救うだろう」という言葉と、足立の『幽閉者 テロリスト』の中で岡本公三がパレスチナの風景を回想し語る「その美しさのせいで俺たちの決断も一段と強まったのかもしれない。なにもかもが戦いに向かうには、静かで美しすぎる風景だった」という台詞からインスパイアされて付けられたとか。