2003/07/25掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
ソフト・マシーンから旅立ち、
マッチング・モールを率いて間もなく下半身不随に見舞われてしまい、しかし逆転的に「歌」を紡ぐことに集中、いっそうのユーモアと知性を磨いてきた国宝級のロック界仙人、
ロバート・ワイアットが6年ぶり、まさに待望の新作をリリースします。前作
『シュリープ』(写真)もそのまた前作から6年ぶりの傑作だったので、今の彼にはそのぐらいの周期がちょうどいいのかも。その間にアヴァンギャルドなトリビュート・アルバムや紙ジャケ再発などもありましたし。
気になる新作、そのタイトルは
『クークー・ランド(Cuckoo Land)』(VACK-1269)とのこと。カッコーの島、と訳せるでしょう今作は、前作の続編的内容となるそうなので、このタイトルが導かれたのも必然なのかもしれません。内容についてはほぼ未定ですが、嬉しい日本先行発売&ボーナス・トラック収録予定で9/25(木)に\2,548(税込)で発売されることは決定しました。
前作ではワイアットの友人として惜しみない協力を注ぐ豪華なゲスト参加(ついでに小山田圭吾の推薦コメント・シール)が話題になりましたが、今回も素晴らしい参加陣。前作に引き続いての参加となるのは、
ポール・ウェラーと
ブライアン・イーノ。もうひとり話題になるのは、
ピンク・フロイド停止の間にゲスト参加が多彩な
デヴィッド・ギルモア。ことウェラーの参加は彼に活動を再開させる活力にもなったというエピソードもあり、ささやかな友情を感じます。
でも「ワイアット? 名前は知ってるけど音楽は知らないなぁ」という方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、同日に同価格でリリースされるワイアット初のベスト・アルバムをご推薦。過去に全史をさらったヴァージン・レーベルによるコンピレーション盤はありましたが、個人作品のみの「ベスト」を堂々と銘打った作品は(少なくとも日本盤では)初登場でしょう。
その
『Robert Wyatt Best selection / [Strange days] Loves Robert Wyatt(仮)』(VACK-1270)は、もはや有名ブリティッシュ系ロック雑誌の座を確立している『ストレンジ・デイズ』監修によるもの。そのため、選曲もヒネリが効いており、「初心者からコアなファンまで」楽しめる選曲。アルバムの代表曲を総ざらえしつつ、中にはEPの曲も収録しているというところが強みでしょう。作品の素晴らしさのわりには、カタログ不備の時期が続いたり入門者向けのものがなかったり、なワイアットでしたが、これなら安心。
なお、ジャケットは全作でおなじみ、愛妻アルフィーによる書き下ろしのものを予定しています。新作もきっと、そうなんでしょうね。
あたたかい歌声も楽しめ、未だひそかに旺盛な実験精神も奥に垣間見えるワイアット作品。ファンもそうでない方も、これを機会になじんで頂けると幸いです。いやほんと。