20世紀を代表するドイツの劇作家
ブレヒトが20歳で書いた最初の戯曲『バール』を、現在『シャトーブリアンからの手紙』もヒット中の
フォルカー・シュレンドルフ監督が1970年に映画化。主演はなんと、鬼才
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー――。長らくブレヒトの遺族の意向で上映が禁止されていた“幻の映画”『バール』が44年の時を経て、11月19日(水)より東京ドイツ文化センター・ドイツ文化会館ホールで開催される
〈ドイツ映画特集2014〉で本邦初上映。
当時、長編第一作『テルレスの青春』(1966年)で一躍、ニュー・ジャーマン・シネマの旗手となったフォルカー・シュレンドルフ監督は、テレビ局の依頼で劇映画の製作に着手し、そこで原作に選んだのは、『三文オペラ』などで知られる世界的な劇作家ベルトルト・ブレヒトが、20歳で書いた最初の戯曲『バール』。主演には、後にニュー・ジャーマン・シネマきっての“鬼才”監督となるライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。共演には、今では『ハンナ・アーレント』の監督として有名ですが、当時はまだ女優として活躍し、後にシュレンドルフと結婚することになる
マルガレーテ・フォン・トロッタと、後にファスビンダー映画のミューズとなる伝説の女優
ハンナ・シグラ。
しかし、1970年に完成した映画は、人々の目に触れることはなく(一説によると、ブレヒト亡き後、権利を保有していたブレヒトの妻がファスビンダー演じるバールのあまりの放埒さに衝撃を受け、一切のテレビ放映・上映を禁止してしまったとか)、それから44年もの長き封印へ。その後、権利を受け継いだブレヒトの娘は、この作品の映画史における重要性を認め、デジタル化にも同意。2014年2月の〈ベルリン国際映画祭〉でデジタル・リマスター版として、ついに初上映に至りました。これから30歳になろうとするシュレンドルフ監督と、24、5歳の若さだったファスビンダー。フォン・トロッタも27歳、シグラもまだ26歳。まさにニュージャーマン・シネマの若々しく荒々しい情熱が溢れた必見の問題作です。