2004/03/18掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
低迷気味のフランス映画界において、純然たるフランス映画を撮り続ける、
ブノワ・ジャコー監督。『ザ・ビーチ』でブレイクする、
ヴィルジニー・ルドワイヤン嬢を発掘したというだけでは余りある秀作『シングル・ガール』をはじめ、女性の“性”を見つめる真摯な眼差しは、フランス映画の真髄そのもの!! とはいえ、ヘンリー・ジェイムズや三島由紀夫といった“タブー”視される文芸遺産を映像化し続け、ヨーロッパ映画界を背負って立つ作家の一人でありながら、日本での認知度はなぜかいまひとつではありますが・・・。
昨年、ひっそりと公開された『発禁本-SADE』も、マルキ・ド・サドの人物造形に新たな解釈を加え、人間の“生”と“性”に迫った野心作であるにも関わらず、日本でのリアクションの無さに憤りすら感じている映画ファンも多いはず。そんな憤慨気味なアナタに本日は嬉しいリリース情報です!! “劇場で観れないなら、DVDで観るしかない!!”と、4月23日(予定)に、タイトルを
『発禁本 無修正版』(GNBF-1022 \4,700(税込))と改め、DVD化されることになりました!!
生涯の3分の1を牢獄で過ごし、作家の肩書きのみならず、フランス革命とも深い関係を持つ、“サディズム”の語源として有名な哲学者マルキ・ド・サドを描いた映画『発禁本-SADE』。獄中でペンを奪われたら、指を切って血で小説を書き綴り、生涯を通して表現の自由を訴え続けた人物・・・といった描写は、巨匠
フィリップ・カウフマン監督の
『クイルズ』(写真はサントラ)にて深く描かれていますが、今回の『発禁本』では、サドが16才の貴族の少女に性の悦びを教えるといった物語。“サドは実はマゾだった”と言う新解釈で、サドの実像に迫っています。物語は1791年にサドがサン・ラザールの刑務所からピクピュスに移送された時期の話で、サドの生涯において、ほとんど何の情報もない時期を描いているゆえ、サドのファンにもとても興味深いものだと思いますよ!!
主演は『八日目』にて、カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞に輝いた名優
ダニエル・オートゥイユ。ロバート・デ・ニーロにそっくりなあの人です。本作ではデ・ニーロも逃げ出す、ストイックで危険な“サド”を熱演し、すっかり世界的名優の貫禄感じられますが、じつはその彼が、80年代フランスを代表するバカ・コメディ
『ザ・カンニング[IQ=0]』で主役を演じた役者であることを知っている方はどれだけいるのか疑問です。サドのターゲットとなる純真無垢な伯爵令嬢エミリーは、イジルド・ル・ベスコが演じており、また、
『そして、僕は恋をする』のマリアンヌ・ドニクール、同じくデプレシャン・ファミリーのひとりである
ジャンヌ・バリバール、そして、
『天使が見た夢』のグレゴワール・コランといった、実力派が脇をガッシリと固めています!! お見逃しなく!!