『単一民族神話の起源』『〈民主〉と〈愛国〉』『1968』などの著作で数々の賞を受けた歴史社会学者の小熊英二による初監督作品、ドキュメンタリー映画『首相官邸の前で』が9月2日(水)より隔週水曜日に東京・渋谷「アップリンク」で公開されます。また8月5日(水)、8月19日(水)には小熊監督によるアフター・トーク付きのプレミア上映も開催されます。
――2012年夏、東京。約20万の人びとが、首相官邸前を埋めた。NYの「ウォール街占拠」の翌年、香港の「雨傘革命」の2年前のことだった。しかしこの運動は、その全貌が報道されることも、世界に知られることもなかった。人びとが集まったのは、福島第一原発事故後の、原発政策に抗議するためだった。事故前はまったく別々の立場にいた8人が、危機と変転を経て、やがて首相官邸前という一つの場につどう。彼らに唯一共通していた言葉は「脱原発」と「民主主義の危機」だった――。
本作について小熊監督は、「私は、この出来事を記録したいと思った。この映画の主役は、映っている人びとすべてだ。その人びとは、性別も世代も、地位も国籍も、出身地も志向もばらばらだ。そうした人びとが、一つの場につどう姿は、稀有のことであると同時に、力強く、美しいと思った。歴史家である私がいまやるべきことは、これを記録し、後世に残すことだと思った」と、言葉を寄せています。
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