1990年生まれで6歳からチェロを始め、高校生の時に東京音楽コンクールやルーマニア国際音楽コンクールで入賞、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コース在学中の2011年には日本音楽コンクール2位入賞を果たすなど、早くから将来を嘱望される存在感を放ってきたチェリストの上村文乃が、12月15日(火)の東京オペラシティのリサイタルシリーズ〈B→C〉に登場します。共演ピアニストは須関裕子です。
〈B→C(ビートゥーシー): バッハからコンテンポラリーヘ〉は、1998年に始まって以来、大好評を博す東京オペラシティの名物シリーズ。バッハ作品と現代作品を軸として、演奏家が自由にプログラムを組むことによって、さまざまな〈B→C〉を聴くことができるリサイタルシリーズとなっています。
2013年3月に桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースを卒業、同年10月から1年間はハンブルクで、2014年秋からはバーゼル音楽院に移り、スケールの大きな表現力に磨きをかけている上村。ハンブルクでは以前から憧れていたという名チェリストの
アルト・ノラス(Arto Noras)に師事し、高齢のため残り1年で退官というラスト・チャンスに師の一音一音から学んだのち、現在は
ロストロポーヴィチの最後の弟子でもあった
イヴァン・モニゲッティ(Ivan Monighetti)に師事し、基本中の基本を大切に学ぶ日々を送っています。
前半が無伴奏、後半がピアノとの共演で編まれた今回のリサイタルのプログラムの核は、
ペンデレツキ。上村の師であるノラスはペンデレツキ演奏の第一人者でもあります。上村は、師が作曲家と密なコミュニケーションを重ねる姿から、同時代の作曲家の生の声を聞きながら作品に命を吹き込んでいく大切さを学んだとのこと。トビアスPM.シュナイトの「無伴奏チェロ組曲」は、昨年のミュンヘン国際音楽コンクールの委嘱曲。ロックやジャズなどにもインスパイアされた作曲家らしい、突き抜けた個性をもつ楽曲です。そして20代のいましかできない表現をめざす
バッハ、
武満作品、
ショスタコーヴィチの傑作ソナタも、若き上村のみずみずしい感性を体感させてくれることでしょう。