日本の音楽ファンにレコードの魅力を広めることを目的に、レコード盤製造の東洋化成、レコード針開発・製造のナガオカ、ターンテーブル開発・製造のテクニクスの3社がコラボして発足された〈
レコード再発見プロジェクト〉。4月に開催された発足イベントに続き、〈“Made In Japan”で愉しむレコードの音色〜東洋化成 末広工場見学〜〉と題したイベントが8月31日に行なわれました。
イベントではまず、パナソニック技術本部ホームエンターテインメント開発センター係長である志波正之氏、ナガオカ技術アドバイザーである寺村 博氏、東洋化成レコード事業部部長の石丸 仁氏が登壇。テクニクスから9月に発売を控えるアナログレコードプレーヤー「SL-1200G」の日本予約販売分が受付開始からわずか30分ほどで売り切れとなったことが志波氏から報告されたほか、寺村氏は
桑田佳祐が6月に発表したシングル
「ヨシ子さん」のなかで「“ナガオカ針”しか記憶にねぇよ」と歌われていることに関して「いろいろな方面から問い合わせを受けている。きっと桑田さんも当社の製品をお使いいただいているのでは」とコメント。そのほか、“Made in Japan”を貫く3社の製造過程について、石丸氏は「すべての作業が職人的」と語るなど、さまざまなテーマで話が繰り広げられました。
さらに、ゲストとして昨年発表のアルバム『Bittersweet』をアナログ盤でも発売した
土岐麻子が登壇。「幼いころから音楽を聴くといったらレコードだったので、その影響を受けて作り上げてきた自分の楽曲をアナログで再生できるというのは、音楽をやっていて幸せだと思える瞬間のひとつ」とレコードについての思いを語ったほか、近年のアナログ再ブームに関しては「自分たちの世代で起きたアナログブームとは違い、いまのブームの中心である若い方々はまったくそういうことを知らずに育ってきたはず。より解像度を高く、情報量を多くという開発の流れのなかで、アナログの音を個性と感じて興味を持っているというのは、すごく未来があると思います」とコメント。さらに、『Bittersweet』から、この日のために特別にプレスされたという「Beautiful Day」と「ラブソング」を収めた7inch盤をSL-1200Gで聴くという特別な催しも行なわれました。
さらに、いまやレコードプレスは日本でここだけでしか行なわれていないという末広工場内の見学会も実施。カッティングエンジニアの手塚和巳氏がなにも溝がつけられていない盤に音を刻み込みラッカー盤を製作する様子や、そのラッカー盤をもとに作られたスタンパーから実際にレコードがプレスされていく工程など、“職人的”な技術の数々によって製作される現場が紹介されました。
あわせて、昨年に続き11月3日に〈レコードの日〉の開催が決定したことも発表。昨年はこの日に合わせ
勝 新太郎「SUNNY / SUMMER TIME」や
RHYMESTER「耳ヲ貸スベキ」、
安藤裕子『大人のまじめなカバーシリーズ』、
Räfven『よみがえれ!キツネザウルス〜Bring Back The Dinos』など個性豊かな全65タイトルがアナログ化して発売されており、今年もさまざまなニーズに応えるラインナップを予定しているほか、各ショップでのリスニングイベントや、オーディオ・ブランドとのコラボなど、多角的にレコードの楽しさを味わえるイベントを企画中とのことです。詳細は、〈レコードの日〉オフィシャルサイト(
レコードの日.jp)にてご確認ください。