am8(エーエム・エイト)が、数々のクリエイターが手がけたリミックスをまとめた12inchアルバム『am8 was killed by?』アナログ盤を12月22日にリリース。あわせて、全曲ダイジェスト映像をYouTubeにて公開しています。
am8は、アナログ・レコードのリリースや連続配信、個性的なフィーチャリング・シンガーを起用するなど、独自のクリエイティブ・アクションを起こしてきた音楽ユニット。
2021年は、2020年リリースのアルバム『iDoM』の収録曲を、数々のクリエイターにオファーし斬新にアップデート、名付けて“am8 killed by(キルバイ)シリーズ”を展開。クリエイティブの“スクラップ&ビルド=破壊と再構築”をコンセプトに、am8が体現してきたサウンド・コンセプトを一度“殺し”てもらう、オリジナルとは異質な音楽世界に誘う、というリミックス・プロジェクトです。
今回、定期的に配信リリースをしてきたそのトラックたちを、12inchアナログ盤にまとめ、完全限定生産でリリース。ボーナス・トラックとして、2020年のリリースから今もなお再生回数を更新し、現在は英語ヴァージョンと併せて23万再生を記録しているアンセム曲「Hatsukoi ft.HANA」の英語ヴァージョン「Hatsukoi ft.HANA -my first love-」を初めてアナログ盤に収録しています。
また、am8はnoteにてリリース記念スペシャル・インタビューを掲載。「Anywhere ft. Kaori Takeda - Schroeder-Headz Nowhere Mix」を手がけた
渡辺シュンスケ (
Schroeder-Headz )と、オリジナル・ヴァージョンのフィーチャリング・シンガー、
武田カオリ による、担当楽曲の話題のほか、音楽ルーツやam8プロジェクト全体についてさまざまなトークが展開されています。
[参加クリエイター コメント] am8を知ったのは「Hatsukoi(ft. HANA)」がきっかけ。そのころ読んでいた小説と重なるフィールがあり、まるで物語の主題歌を手に入れたように繰り返し聴いていました。奥行きの深い音像と神秘的な歌声に魅了され、やがて他の曲にも関心が高まり、気付けばam8の大ファンになっていたのです。そしてアート・ディレクターと音楽ディレクターという“いわゆるミュージシャン”とは違う出自の2人がこれ程までにハイセンスな音楽を生み出しているのも興味深く、そこはかとないオルタナティブを感じます。am8は2020年代のPLASTICSです、僕の中では。 「Hatsukoi」ではなく「Florian ft. HANA+Kaori Takeda」をリミックスの題材に選ばせて頂きましたが、楽しさが緊張をはるかに超え、とてもクリエイティブになれました。制作中、とにかく楽しくて楽しくて仕方なかったです。大好きなハウス・クリエイターAdryianoがリミックスしたAva Max「Torn」のアプローチをイメージしつつ、MPC2000のダーティなサウンドと「Florian」が持つ透明感の融合に取り組みました。多くのリスナーの方々へ届くことを祈っていますし、原曲とは違った表情を楽しんでもらえたらと思います。また、am8とのご縁を作ってくださった選曲家のカワムラユキさんにも御礼を述べなければなりません。 ――House Violence トラックを作るところで大事にしたのは、音をあまりたくさん詰め込まないこと。昨今のUSを中心とする音楽のトレンドが、どんどんトラック数が減っている傾向にあり、自分自身の音楽の好みという観点もそうなので嬉しい限りですが、いざ自分で作るとなるとあれもこれも入れたくなってしまう。しかし一旦冷静になって、引き算のモードで客観的に聴いて検証し、ここに落ち着きました。高浪慶太郎さんのボーカルが、オリジナルとはまたひと味違った表情を見せてくれているので、ぜひチェックしてみてください。 ――mad FPU 「今回のテーマは“殺し”なんです」 縁起でもないことを仰る。リビルドのための「殺し」。いちど植え付けられた固定概念を崩して再構築するためには、たしかにそれくらいの気概が必要なのかもしれません。 am8の楽曲にはYMOから始まり、UKマッドチェスタームーヴメントが日本に輸入された当時の混沌とその記憶が詰まっている気がしています。もっとも、僕自身が初めて音楽にのめり込んだ時期が丁度そこに当たることも要素のひとつです。加えて「俗な女」にはテレビ創世記の歌謡曲を彩った凄腕ジャズマンたちを思わせる音像と、夏木マリさんの圧倒的な歌唱。 この強敵を、何を以て殺そうか…?そうだ、あの時クラブで鳴っていた、歪んだTB-303の強烈な低音と耳をつんざくようなレゾナンスフィルター。あれは人を殺せる。凶器はこれに決めました。 TB-303と言えば「Acid-House(アシッドハウス)」、リミックスを仕上げるにあたってのキーワードになりました。実のところ、往年のアシッドハウスで鳴らされていたTBの音色は意外なほどに繊細で美しいのですが、頭の中で鳴っていたのはクラブの爆音で極度に歪まされた暴力的な音の記憶。このすれ違いは最初、パートナーであるエンジニアTakatsuとのミックスダウン時の会話でちょっとした齟齬を生みました。僕もまた記憶の中でアシッドハウスを「殺して」いたのです。 そこでタイトルも「アシッドをも殺す=assassin + acid =assa-cid」としました。そんな再構築の過程とともに、リミックスを楽しんで頂けたら幸いです。 ――glasswerks AmPmの主軸となるダンスミュージックと初恋からイメージする相容れないような世界観をどうアプローチするか悩みましたが、原曲の持つ幻想的な詩世界を浮遊感のあるハウスにのせることで夢幻の世界を表現融合できたのではと思います。 ――AmPm 自由に壊して欲しいとのオーダーより、あえて原曲をポジとするところのネガを目指しました。武田さんの声に導かれて、この曲の持つ裏側のアナザーストーリーが生まれたような感覚があって、すごく気に入っています。ぜひ原曲と聴き比べてみてください。 ――Schroeder-Headz VIDEO