タイトルである“スモール・アックス”は、1973年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム『バーニン』に収録された「Small Axe」から取られています。その歌詞の中に引用されたことで世界的に有名になったフレーズ「If you are the big tree, we are the small axe(おまえが大きな木なら、俺たちは小さな斧だ)」は、19世紀後半まで続いた黒人奴隷貿易に起源をもつ、ジャマイカなどカリブ地域のアフリカ系黒人コミュニティに伝わる諺で、権力を持つ者を大きな木に喩え、自分たちは小さな斧だけど刃を研ぎ澄ましいつでも切り倒してやる、という反骨のメッセージが込められています。全話を通してレゲエやスティールパンの鳴り響く中南米音楽が作品の重要な要素で、特に第2話「ラヴァーズ・ロック」は、レゲエのジャンルの一つ“ラヴァーズ・ロック”の楽曲がふんだんに散りばめられた青春ラヴ・ストーリー。理不尽な社会の中でも彼らのルーツの音楽が常に身近にあり、歌い踊り陽気に生きる彼らの本来の姿が描かれています。