昨年末に発表された
『LIGHTNING AMPLIFER』が各方面で大絶賛され、注目を集めるエレクトロ・ロック・バンドの
1000say。彼らが参加したディズニー・カヴァー・アルバム『Disney Rocks!!』が3月3日にヴィレッジ・ヴァンガード限定で発売(1000sayは、映画『アラジン』の「A Whole New World」をカヴァー)。また、3月28日には下北沢CLUB QUEにてcruyff in the bedroomとの2マン・ライヴ<tokyo tea party>も決定。全国を巡ったリリース・ツアーを経てパワーアップした1000sayの姿は見逃せない! そんな全国ツアーのファイナルとなった2月11日、下北沢CLUB QUEでの初ワンマン・ライヴ<1000say 3rd mini album 『LIGHTNING AMPLIFIER』release tour final ONE MAN!!!! 〜稲妻ジェーン〜>の模様をご紹介!
会場内に設置されたモニターに、オリジナルのSEを重ねたアニメ映画とスタジオでのリハーサル映像をつないだ映像が流された開演前。リハーサル映像ではどうやって1000sayが音楽を作り上げていくのかが生々しく映し出され、映像の終盤に差し掛かるとメンバーそれぞれからライヴへの意気込みとメッセージがつづられた。そして、開演時刻の19時を少し過ぎたころ客電は落ち、モニターには過去のライヴ写真が次々と映し出された。これからステージ上で写真のような熱いライヴが繰り広げられる。そんな期待感が頂点に達したそのとき、ステージにメンバーの4人が登場。
1曲目は「HOLY RAIN」。オーディエンスは高々と手を掲げながら、この瞬間を待っていたという思いをステージへと笑顔でぶつけ、APIとNONの幸せに満ちた表情からは、その思いをしっかり受け止めていることが伝わってくる。MANの歌声はいつになく自信に満ち溢れ、自分の歩んできた道に間違いがなかったことをこの時点ですでに確信していたはず。続く、これぞジャズ・マスターといった熱きギター・サウンドとストロボ・ライトに彩られた「DANCE IN THE SEVEN DAYS」「MAGMA ATTACK」では、ライヴ・バンドとしての本領発揮。アグレッシヴなステージングと爆音サウンドでオーディエンスを興奮の渦へと導く。その後は、1st
『STARGAZER ORCHESTRA』の楽曲を中心に披露し、「CANARY」では、なんとNONがドラム・ソロも披露!
そんな中で特に印象的だったのが、ライヴ中盤に演奏された「87-DRAGON」「PLUTO[134340]」の2曲。複雑なリズムで彩られる「87-DRAGON」での呪文を唱えるかのようなMANとAPIのハーモニーがトリップ感を増幅させ、メランコリックなメロディとシンプルなアレンジによる「PLUTO[134340]」で懐かしさと優しさに満ちあふれた近未来感を映し出す。アレンジでいえば対極にあるこの2曲の流れが、エレクトロ・サイケデリア(もしくはプログレ!)とでもいうべきスケールの大きなサウンドでつながっていき、深い水中から星空を眺めるような、もしくは宇宙から地球を眺めるような、そんな壮大な世界観がライヴハウスを覆っていった。ただのエレクトロ・ロック・バンドではないことを伝えるには十分すぎるこの2曲。今回のハイライトといっても過言ではないだろう。
その後、メンバーからオーディエンスにバレンタイン・チョコなどが投げ込まれ、APIのキュートな歌声を堪能できる「FREEZE」へと流れ込んだ。ガーリー・エレクトロ直系のスウィートなこの曲も、このライヴの中で聴くとパンクな印象も与えるから不思議なものだ。そして、「OVER THE RAINBOW」「LOSTMAN」の2曲でライヴハウスをダンス・フロアへと変貌させ、ライヴは終了。あっという間の1時間。オーディエンスにはまだまだ物足りない。アンコールの声は絶えることなく響きわたっていた。
そして、お揃いのバンドTシャツに身を包んで現れたアンコール。ディズニーのカヴァー・アルバムに収録される「A WHOLE NEW WORLD」を披露。キラキラしたアレンジの中で優しく歌うMANの声に、新たな魅力を感じた人も多かったはず。続けて演奏された「WARM HEART」では暴力的なまでに音の塊を放ち、まだまだ暴れたりないといったステージ上のメンバーと踊り足りないオーディエンスが一体化。恍惚感にまみれたノイズを撒き散らしたまま、4人はステージから去っていった。それでもオーディエンスは1000sayを求め続け、ついにダブル・アンコールに突入。
メロディアスな「GREEN GREEN」に続き、ヘヴィ・メタリックなギター・サウンドと重戦車クラスの低音が轟くバッキバキのハード・エレクトロ「ONE STORY(REMIX)」。拡声器を持って煽るMICHELLEとモニター・スピーカーに登ってハンド・マイクで歌うAPIに導かれるかのように、オーディエンスも最後の力を振り絞り、踊り狂っている。カオスに近いトランシーな盛り上がりの中、ワンマン・ライヴはついにその終焉を迎える。メンバー4人はあふれんばかりの笑みで手をつなぎ、その手を高々と上げ、初ワンマンはすべて終了した。
バンドの歴史を誰よりも深く知り、以前よりも骨太のサウンドを奏でる“ミスター・ジャズマスター”MAN。ベースを弾くヴォーカリストとしての存在感が格段に増したAPI。黒いノリをヘヴィに奏で、ボトムをしっかり支えるNON。シンセサイザーをバンドをカラフルに彩るアクセントから、攻撃性を増幅させる鋭い凶器へと変貌させたMICHELLE。この4人でなければ鳴らせない音、1000sayだけが持ちえる世界がオーディエンスに放射され続けたライヴだった。ギター・ロックとエレクトロ・サウンド。この2つの要素を同じ熱量で合致させて奏でることができるバンドは、1000say以外には存在しない。そう、断言できる。
今までのライヴは対バン形式だったために、どこかプレゼンテーション感がどこか拭いきれなかったことは否めない。しかし、“自分たちのアンセム”として楽曲を受け入れるオーディエンスのみが集まったこの状況をステージ上で体感したことで、これからの活動にさらなる自信を持って挑むことだろう。3部作となったミニ・アルバム、そしてこのワンマン・ライヴを経て、1000sayというバンドはエレクトロ・ロック・バンドの先頭に立つことは間違いない。
『Disney Rocks!!』
AVW1-12769 ¥2,100 (税込)
2010年3月3日発売 (VILLAGE VANGUARD限定発売)
<cruyff in the bedroom presents 「tokyo tea party」>
●日時:3月28日(日)
●会場:下北沢CLUB QUE
●時間:開場18:00 / 開演18:30
●料金:税込2,500円