12月よりユーロスペースほか全国の劇場にて大ヒット上映中の
アキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』(英題:「FALLEN LEAVES」)の大ヒット御礼舞台挨拶が、1月15日(月)18:50の上映回の後に実施。本映画に出演、歌唱を披露しているフィンランドの人気シンセ・ポップ・デュオ“マウステテュトット”がリモート登壇しました。
アキ・カウリスマキ監督最新作にして復帰作『枯れ葉』は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラヴ・ストーリー。『
TOVE/トーベ』の主演で知られる
アルマ・ポウスティ演じるヒロインの圧倒的な存在感など、随所に新しさを感じさせながら、おなじみのとぼけたユーモアや抜群の音楽センスにもさらに磨きのかかった、いわばカウリスマキの集大成ともいえる作品です。2023年カンヌ国際映画祭 審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに見事輝き、第96回アカデミー賞®国際長編映画賞のショートリストにも選出されたほか、本国フィンランドでは、動員25万人を超え(フィンランドの人口は約550万人)、カウリスマキ最大のヒット作『
過去のない男』を超える動員数を記録し、本国のみならずフランスやドイツ、そして日本でも満席続出の大ヒットを記録、各国で快進撃を続けています。
カウリスマキ監督作品への出演について、妹のカイサは「アキ・カウリスマキ監督に会えるっていうだけで感無量でした。子どもの時からカウリスマキ監督のファンで、彼はアイドルのような存在だったので、とても緊張しました」と、はにかみながらコメント。撮影時の思い出を尋ねられると、姉のアンナは「撮影は1日だけ。同じバーで他のいろんなシーンを撮っている様子も見学させてもらいました。カウリスマキ監督からは、特に何も指示はなく、いつも通り演奏してくれとだけ言われました。全部で3回ほど角度を変えて撮影したと思います」と振り返りました。クールな2人の演奏姿は普段からのスタイルですが、アンナは「カウリスマキ監督は私たちの演奏スタイルも知っていたので、それを気に入ってくれたんだと思います」と答えました。
一度聴いたら頭から離れない、思わず口ずさんでしまうと話題の劇中歌「悲しみに生まれ、失望を身にまとう」について尋ねられると、カイサは「以前に出したアルバムに収録されていた曲をカウリスマキ監督が選んだんです」と嬉しそうに話し、アンナは「映画の為に(カウリスマキ監督の映画館があるフィンランドの)カルキラのスタジオでライブバージョンとして新たに録音し直しました」と回答。作曲は2人で、作詞はカイサが担当。マウステテュトットの楽曲の歌詞はすべてフィンランド語で構成されているそうで、カイサは「自分の言いたいことは母国語であるフィンランド語で表現するのが一番。母国語以外での作詞は難しいです」と明かし、メランコリックな曲調、歌詞が映画『枯れ葉』の雰囲気にピッタリとの声には、「作曲はアンナです。先に曲があって、ふとした時に歌詞が出てきたという感じです」と教えてくれました。
『枯れ葉』の中で好きなシーンについて質問された二人は、「アンサがホラッパに“あなたは好きだけど、酒飲みは嫌だ”というシーン」と答え、カイサは「何度観ても涙が出る」と感慨深げな表情に。また、アンナは「犬の出てくるシーンも好きです。これまでにも多くのカウリスマキ監督作品に犬が登場してきましたが、今作ではアンサが犬に対して感情を出しているのが特に印象的でした」とお気に入りのシーンを挙げました。好きなキャラクターについても「アンサです!」と2人は同じ回答を。アンナは、「新しい世代のキャラクターだと思います。今までのカウリスマキ監督の作品にはいなかった、どこか温かな眼差し、表情がアンサにはあります」と主人公の人物像について自身の見解を語りました。
最後に、今後、日本でのライヴ活動などを考えているのか?との質問に「日本でライブできたら素晴らしいと思うけど、招聘してくださる方がいないと…。是非、行ってみたいです!」とアンナが笑顔を見せ、舞台挨拶は幕を閉じました。
マウステテュトットは、フィンランドのヴァーラ出身、ヘルシンキ在住の姉妹ポップ・デュオ。バンド名はフィンランド語で“スパイス・ガールズ”の意味を持ちます。2019年2月にリリースした1stシングル「Tein kai lottorivini väärin(宝くじを外した気がする)」が1ヵ月でYouTubeの再生数219,000回、Spotifyの再生数245,000回を記録し話題に。翌10月に1stアルバム『Kaikki tiet vievät Peltolaan(すべての道はペルトラへ続く)」を発表。2020年に発表した2ndアルバム「Eivät enkelitkään ilman ssipiä lennä(翼がなければ天使も飛べない)」はフィンランドのチャートで第2位を記録。同年、フィンランドのグラミー賞といわれるエンマ・ガーラでロック・オブ・ザ・イヤー、バンド・オブ・ザ・イヤーの2冠に輝くなど人気を博しています。最新アルバムとしては、2023年3月に3枚目『Maailman onnellisin kansa(世界で最も幸せな国民)』をリリースしています。
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Photo: Malla Hukkanen