指揮者の
アンドリス・ネルソンスが、みずからカペルマイスター(楽長)を務めるドイツの名門、
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とともに進めている
ブルックナーの交響曲全曲録音シリーズの第6弾で完結編となる『ブルックナー:交響曲第1番・第5番 他』を2月11日(金・祝)に発表します。
本シリーズにはブルックナーが敬愛した
ワーグナーのオペラからの管弦楽曲が毎回カップリングされており、今作に収録されるのは冒頭の官能的な「トリスタン和音」が機能和声崩壊の発端となったとされる革命的作品、楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲とイゾルデの愛の死」です。この「前奏曲とイゾルデの愛の死」が先行配信されています。
ブルックナーが「生意気な浮浪児」と呼び愛着を持っていた交響曲第1番は、いくぶん無骨なオリジナル稿がリンツ稿、晩年に手を加えた改訂稿がウィーン稿と呼ばれ、近年はリンツ稿による演奏が主流となっていますが、ネルソンスはより洗練されたウィーン稿を選択しました。この選択についてネルソンスは「年齢を重ねた作曲家が、交響曲の道を歩み始めた頃を振り返ったヴァージョンというのは、非常に珍しいものなんですよ。ブルックナーの最初の交響的作品に、後の作品の経験を投入しているのは魅力的で、感動的でさえあります。そして、ブルックナーの自己批判の目を最後まで耐え抜いたこの独創的な版が今日ほとんど演奏されないことに驚かされます」と語っています。
あわせて収録される、金管のコラールや厳格な対位法的書法で壮大な大伽藍を築く交響曲第5番は、後期の傑作群に優るとも劣らないスケールの大きさと完成度を誇る作品。壮麗な響きは、もっともブルックナーらしさをまとった人気作のひとつです。
©Gerd_Matthes