『ヘドバン』編集長と渡英隊ライター&カメラマンが、現地に直接足を運んで目にした英国メタル・フェスの光景、そして真実が記録された
『ヘドバン PRESENTS 史上最高の英国メタル・フェス完全レポート&永久保存版!』。本書の発売を記念したトーク・イベントが8月28日(木)、タワーレコード新宿店で行なわれました。
メタルTシャツに正装したオーディエンスが集う中、今回の写真の大半を撮影したチーム『ヘドバン』別冊隊のカメラマンのakiを司会に、『ヘドバン』梅沢直幸編集長、ライターの荒金良介、倉田真琴が壇上へ。「
BABYMETALが海外でやるという話があって、〈SONISPHERE〉に出演するメンバーが出た段階で、ヘドバン本誌でやるのはタイミング的に間に合わないので別冊を出そうとしたんです。でも実際最終的にGOサインが出て動きはじめたのは、渡英の半月前くらい」(梅沢)と、まずは制作のいきさつからトークはスタート。
「総勢7名。異例中の異例だと思います。泣ける文章でファンの多いBABYMETALライヴ番記者の倉田さん、メタルの中でもジャンルにかかわらず熱い文章を書ける荒金さんにお願いして」(梅沢)とオール・スタッフを日本から連れて行ったものの、「でも誰も英語が喋れないんですよ、僕も含めて(笑)。だから海外での撮影経験があるだろうって僕にみんな頼ってきて、運転、コーディネイター、カメラマン、通訳? 全部やりました」(aki)というヘドバン別冊隊でしたが、GOサインの遅延によりフェスへの取材申し込みが遅れ、取材パスが出ないという緊迫した事態に……。
そんな窮地を救ったのは、伊藤政則その人。「ここにいる倉田、aki、僕は“政則チルドレン”というか、20年くらい前、伊藤さんのところで働いていた経験があったんです。取材対象のフェス〈BLACK SABATH TIME!〉は現地のコーディネーターが動いてくれてなんとかなったんですが、〈SONISPHERE〉の方はパスが出ないという、らちが明かない状況で。ここはもう政則先生にお願いするしかない!って“政則チルドレン3名、一生のお願いです!”と連絡したんです。そうしたら、“なんだよ、早く言えよ”って伊藤先生が日本のレコード会社と
アイアン・メイデンの事務所とやり取りしてくださって、最終的にメイン・ステージの撮影場所、フォト・ピットまで入れるオール・アクセスのパスまで出たという奇跡が起きたんです」(梅沢)とのエピソードが飛び出す。
そして〈SONISPHERE〉とくれば、BABYMETAL。「僕は思いのたけを全部原稿に書いたので(笑)。でも、これも書いたことですが、一番印象に残ったのは、SU-METALさんがステージに上って、観客を見回してニヤリとした瞬間ですね」(倉田)、「僕は最前列で撮ってるでしょ、そうするとヴァイブレーションというか、アーティストの緊張というのがわかるんですよ。たしかにBABYMETALは全然余裕でした。登場からして凛々しいというか」(aki)など、余裕あるステージだったとのこと。「バックヤードでも、いろいろ印象的な景色があったんです。
アンスラックスの
スコット・イアンがBABYMETALと記念撮影するとか、
トム・アラヤが談笑してるとか、あのコントラストが印象的でした。なにか日本代表的な感じで張り合ってる雰囲気が」(aki)
〈SONISPHERE〉2日目のヘッドライナーはアイアン・メイデン。7万人を越す観客の内、5万人以上がメイデンのTシャツを着て、それもそれぞれ種類が違うという絶景に出くわした取材陣。現地コーディネーターの「アイアン・メイデンとモーターヘッドはロンドンで観なきゃダメよ」という言葉に納得したとか。
また、ここでも、「(アイアン・メイデンの写真の)全然使用の許可が下りてこなかったんです。もう間に合わないし、コーディネーターの人からは“ウメちゃん、勝手にやっちゃダメ、ゼッタイ”って釘刺されてて。で、ギリギリになって日本のレコード会社の方から“ヘドバンは伊藤さんから言われてるので、メイデンの事務所曰く何でも使っていいから”って言われた。もう、エ〜〜〜!!っですよ。オールOK、表紙に使ってもよかったんです」「だから今回の渡英は、もう“マサ最強!”だったんです。あ、あんまり言うと伊藤さんに怒られるので(笑)」(梅沢)と、最強説が再び。
〈SONISPHERE〉3日目は
メタリカがヘッドライナー。「僕はメタリカが大好きで、それこそ91年に〈Monsters Of Rock〉まで観に行ったし、来日公演もほぼ観てるんですけど、去年のサマーソニックは最後の曲〈シーク・アンド・デストロイ〉の途中で疲れて帰っちゃったんです。暑かったしトゥー・マッチ過ぎて、あ〜また同じ曲か、ゴメンなさいって。正直、大好きなんだけど今回もあまり気持ちが乗らなかった。でも、今回〈SONISPHERE〉で観たメタリカが、今までの中で一番よかったんです。実は僕『Metallica』(ブラック・アルバム)が嫌いなんです。〈エンター・サンドマン〉とか〈ナッシング・エルス・マターズ〉とか演ると、あ〜また来たかって。でも今回はその2曲が一番良かった。なぜかというと、観客の中に、おっちゃんたちがいて。メタリカが始まってもキャンプ椅子に座ってて」(梅沢)、「あの、おっちゃん軍団でしょ。革ジャンの下に、昔のMonsters Of Rockのくたくたになった灰色のTシャツ着て」(倉田)、「そうそう(笑)。回りの連中もリスペクトがあって、退けよとか言わなくて。それがはじまって乗ってくると椅子をバーンと蹴って立ち上がって、ずっと飲んでるから、もう酔っぱらってて全曲大合唱をするんです。〈ナッシング〜〉辺りになると、もう哭くぐらいに歌って。で、携帯で自分たちが歌ってるのを撮ってるし、しかも録音しているんですよ(笑)」「それを見てると、あの曲がまた新鮮に聞こえてきて。だから、メタリカがこの曲を延々と演っているのはこういうことなんだなと」(梅沢)と、改めて“メタリカ最高!”との思いを抱いたとか。
そしてイベント締めはBABYMETALのロンドン公演について。「本物のパンクスの人もいました、結構お歳を召していましたけど、そういう人もBABYMETALのライヴに来てたんです。あと、BABYMETALのタトゥーを入れた人も。本番はともかく熱狂のライヴで、僕は1階の真ん中、モッシュ・ピットです。その渦の中に自分がいたってことがハイライト。熱いし、何をやってもドッカンドッカンうけるし、もうあそこで死んでもいいくらいに思いましたね。〈イジメ、ダメ、ゼッタイ〉のウォール・オブ・デスでクラッシュするでしょ、そのスキに一番前に行くのが通(笑)。そうやって動いたら、イギリス人が笑ってた“お前ヤルね”って(笑)」(倉田)との熱い報告が語られました。
すでに現在「現在Vol.5の製作に入ってます」というヘドバン。「秋には出せればいいかな……いや、まだ全く未定ですけど、今後とも『ヘドバン』宜しくお願いいたします」との梅沢編集長の言葉で、イベントはフィナーレを迎えました。