ビョーク(Björk)はロザリアをフィーチャーした新曲「Oral」をミュージック・ビデオとあわせて公開。この曲は、ビョークの母国アイスランドで行なわれているサケのオープン・ペン(開放型)養殖の残酷さや、環境と生態系への深刻な影響に光を当てることを目的としており、この曲のすべての収益とリスナーから募っている寄付はオープン・ペン養殖に抗議する非営利団体「AEGIS」に寄付されます。
オープン・ペン養殖とは、自然の水路に固定されたオープン・ウォーター・ネットに魚を入れ、集中的に養殖するというもので、魚は市場に出せる大きさになるまで囲われて飼育されます。これは魚の発育を早め、多くの場合、サケのDNAに遺伝的変異を生じさせ、しかも、寄生虫や病気の温床となります。アイスランドのサーモン産業は2014年以来10倍に成長。4,000トン未満だった生産量は、2021年には45,000トンとなり、現在では106,500トンに達すると推定されていますが、オープン・ペン養殖に伴う廃棄物や汚染は、その海洋生態系全体に恒久的なダメージを与える恐れがあります。しかも、規制が存在せず、養殖業はほとんど監視されていないため、遺伝子組み換えが行なわれ、病気にかかったサケが何千匹も定期的に逃げ出し、アイスランドの高地まで遡上しています。そこでは壊滅的な遺伝子の混合が起こり、アイスランドの野生のサケの将来を危険にさらしています。
「Oral」は、『
ホモジェニック』(1997年)と『
ヴェスパタイン』(2001年)の間にビョークが書いた楽曲で、アルバムにふさわしくないと感じた後、彼女のアーカイブから消えていました。ビョークは、2023年3月、オーストラリアでのツアー中にこの曲を思い出し、同じ月に、規制の緩いノルウェー資本の商業サーモン養殖事業が、アイスランド固有の生態系に壊滅的な影響を与えているという報告書が発表されました。これに共鳴したビョークは、ロザリアに協力を依頼。ロンドンを拠点に活動するプロデューサー / シンガー・ソングライターで、ビョークの「ovule」をリミックスしたセガ・ボデガを迎えてこの曲を制作しました。