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待望のデジタル配信 デビュー55周年のちあきなおみに高まる期待
ちあきなおみ
2024/06/10 12:06掲載
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今年デビュー55周年を迎える
ちあきなおみ
。
1969年「
雨に濡れた慕情
」で歌手デビュー。そのデビュー日である6月10日(月)に、これまで在籍したレコードメーカー3社(コロムビア・ビクター・テイチク)から同時に、シングル&オリジナル・アルバム全300曲以上が、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて一挙配信がスタートしています。
[コラム]
音楽ファン待望のニュースと言っていいだろう。ちあきなおみの「デジタル配信開始」のことだ。
デビュー55周年を迎える6月10日、彼女が在籍したレコードメーカー3社(コロムビア、ビクター、テイチク)から同時にほぼすべての音源、つまり既発シングル&オリジナルアルバムに収録された332曲(ライブ音源を含めると425曲)が音楽ストリーミングサービスおよび主要ダウンロードサービスにて一挙配信を開始する――。
5月下旬にそう報じられるとSNSには「やった!」「ついに」「嬉しい!」……そんな投稿が相次いだ。その直後の5月26日にはBSテレ東が2時間特番『ちあきなおみ デビュー55周年〜心を照らす不滅の歌声〜』を放送。テレビ東京が保有する貴重映像やテレビ初公開のライブ映像を含む充実の内容でSNSを再びバズらせた。
ここ数年、BSでは“ちあき特番”をたびたび制作。いずれも好評でアンコールの声が絶えないため、2回、3回と再放送を重ねている。今回の番組は昨年2月にBS-TBSで初放送された『表現者ちあきなおみ ジャンルを超えた魅惑の歌声』に続く大型企画で全22曲をオンエア。デビュー曲「雨に濡れた慕情」(69年)、初のトップ10入りを果たした「四つのお願い」(70年)、レコード大賞を受賞した「喝采」(72年)などキャリア初期の代表曲から始まったが、その後は彼女が40代を迎えた円熟期に発表したアルバム収録曲やカバー曲を中心とした構成であった。
それは「与えられた歌を歌うのではなく、自らが歌いたい歌を歌う」という、ちあき自身の意欲が反映された作品がその時期に多く、本人の想いが圧巻のパフォーマンスに繋がっているからであろう。今回の特番では気鋭の作家の書き下ろし曲で構成された『伝わりますか』(88年)から3曲が紹介されたほか、レーベルの先輩で憧れの石原裕次郎の曲をカバーしたアルバム『夜霧よ今夜も有難う ちあきなおみ 石原裕次郎を唄う』(88年)からも3曲、ちあきの才能に惚れ込んでいた作曲家・船村徹による「矢切りの渡し」(76年)、「紅とんぼ」(88年)やシャンソンの歌唱映像が流れ、さらに『喝采〜紅とんぼ 吉田 旺 参分劇』(89年)に収録された、日吉ミミのカバー曲となる1曲「雪」も網羅されるなど、ジャンルにとらわれない活動を展開したちあきの魅力が十分に伝わる内容だった。
人生の機微や哀歓を時に繊細に、時に情動的に歌う緩急自在のボーカルコントロールはちあきならでは。「セリフは歌え、歌は語れ」と言われるが、彼女の場合は佇まいや表情を含めての表現であり、まるで一人芝居のような迫力がある。放送中からSNSに往時を知らない若い世代も含めて感嘆の声が溢れたのは、それだけ視聴者を釘付けにした表われと言えよう。
活動休止から32年となるちあきだが、その存在感は色褪せるどころか、むしろ高まっており、テレビで歌唱映像や特番が放送されるたびに注目を浴びてきた。それは直後にウェブ検索数が急上昇し、関連作品のセールスが伸びる現象からも明らかだ。動画サイトの公式チャンネルが存在せず、「動くちあきなおみ」を観られる機会が限られていることや、これまでは配信に未対応で彼女の歌声に接することができる機会が限られていたからだろう。
「ちあきなおみの歌が聴きたい」――。そう渇望するリスナーが多かったことがこの5年間でテイチクからリリースされたコンセプトアルバム『微吟』(19年)、『残映』(22年)、『銀嶺』(24年)のセールスが軒並み好調であることにも現れている。同シリーズは「喝采」を手がけて以来、半世紀以上にわたる親交を結び、彼女のことを誰よりもよく知る音楽プロデューサー・東元晃氏の監修。シングル曲中心のベスト盤とは一線を画す、熱心なファンをも唸らせる内容で累計6万枚を超えるヒットを記録している。
今回の特番放送後も大手通販サイトのランキングで3作品とも急上昇。部門別でトップ3に返り咲いたほか、オリコンのアルバム週間ランキングでも再登場する反響を見せている。Google検索では「ちあきなおみ」に関連するワードとして代表作の「喝采」以外にも「紅い花」、「朝日のあたる家」、「黄昏のビギン」、「紅とんぼ」など、番組で歌唱映像が流れたコンセプトアルバムの収録曲が上位を占めているが、その関心がCDの購買に結びついていることが見てとれる。
2週間後にはストリーミングでも聴けるようになると分かっていても「今すぐ聴きたい」「浸りたい」と思わせる強烈な誘引力がちあきの歌にはあるのだろう。練りに練られた構成のCDを聴くもよし、ライブ音源も含めてほぼすべての楽曲にアクセスできる配信サービスで今まで聴いたことがなかった歌に触れるもよし。デビューから55年を迎えたちあきなおみの歌は世代や国境を超えて、ますます多くのリスナーを“沼おち”させるに違いない。
――濱口英樹
■
ちあきなおみ アーティストページリンク
各配信サイトはこちら
chiaki-naomi.lnk.to/ARTIST
■
各レコードメーカーサイト
コロムビア(1969年〜1980年)
columbia.jp/chiaki
ビクター(1981年〜1985年 ほか)
www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A000958.html
テイチク(1988年〜1991年 ほか)
www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki
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