世界的指揮者として知られ、5月には自身初となるピアノ・ソロ・アルバム
『エリーゼのために〜マエストロからの贈り物』をECMレーベルからリリースした
チョン・ミョンフン。さる6月10日(火)には、東京「HAKUJU HALL」でアルバム発売を記念したミニ・リサイタル&トーク・イベントを開催し、日本のコンサート・ホールでは初となるピアノ・ソロ演奏を披露しました。
1974年に〈チャイコフスキー国際コンクール〉のピアノ部門で第2位へ入賞後、一時期はピアニストとしても活躍していたチョン・ミョンフン。現在、世界的指揮者として活躍する彼が日本のコンサート・ホールでピアノ演奏を披露するのは実に8年ぶり、ピアノ・ソロでは今回が初! 演奏前には、「今日は、リサイタルということではなく、家族や友達に弾く感覚で演奏させてください」と語ると、アルバムから「シューマン:トロイメライ」、「シューマン:アラベスク」、「シューベルト:即興曲変ホ長調D899 / 2」、「ショパン:夜想曲嬰ハ短調遺作」、「ベートーヴェン:エリーゼのために」の5曲を披露。予定されていたプログラム以外の曲も披露するなど、来場者を存分に楽しませてくれました。
司会者とのトークでは、今回のアルバムについて、「孫のために何か録音したいと思い、自然に聴ける曲を収録しました。音楽は自然な、言葉のような存在です。今回はピアノ・ソロのレコーディングでしたが、楽しいひと時を過ごすことができました。指揮者は自ら音は出しません。ですので、自らピアノを演奏することは私にとって必要なことなのです。ピアノを演奏するときは一人ひとりに語りかけるように心がけて弾いています」と語る。“2枚目のピアノ・ソロ・アルバムの予定は”という質問には、「ECMからオファーはきていますが、リリースするにはたくさん練習をしないといけません」と、ユーモアを交えて答える場面も!
アルバム『エリーゼのために〜マエストロからの贈り物』は、チョン・ミョンフン初のピアノ・ソロ・アルバムで、ECMにとっても初のピアノ名曲集。次男がECMに勤めている関係で実現したこのアルバムは、前衛的なレーベルとして知られるECMとしては珍しい、とても人気のある作品ばかりが収録。ある曲は孫娘のため、ある曲は長男の結婚祝いに、そしてある曲はヴァイオリニストの姉
チョン・キョンファへ……それぞれの作品を、自身の愛すべき家族に捧げ、愛情豊かに演奏しています。