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coppé、新作『Tweaked』発売 ジェイコブ・コーラーら5人編成でのリリース・ライヴをレポート

coppe'   2024/07/26 15:45掲載
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coppé、新作『Tweaked』発売 ジェイコブ・コーラーら5人編成でのリリース・ライヴをレポート
 火星人エレクトロニック・クリエイター、coppéのジャズ・アルバム『(Un-)tweaked.』(2022年)をルーク・ヴァイバートアトムTMプラッドDJ Kenseiら豪華リミキサー陣がリミックスした新作アルバム『Tweaked』が7月26日(金)にリリース。これに先駆け、7月22日に、両作に収められたスタンダードの名曲たちをcoppé流ジャズで披露するリリース・パーティーが開催されましたので、そのレポートをお送りします。

 会場は、東京・蒲田にあるクリエイターのためのアトリエビル「HUNCH」。ものを生み出すことを目的に、さまざまな分野のクリエイターたちが集まる“共同体”のような場所で、コンサートを恒常的に行なうような“ヴェニュー”ではないものの、「HUNCH」を運営するSociomuséの田中裕人とcoppéの考えが共鳴しあいイベントが開催されることになったそう。

 もとは、スーパーマーケットのバックヤードだったという会場は天井が高く、コンクリートの床や鉄筋の柱がむき出しとなっている作り。そんな骨太な空間で、coppéの出演前には、今回リリースされる『Tweaked』のオリジナル『(Un-)tweaked.』に参加した天才ピアニストのジェイコブ・コーラー、ダブルベースを弾くマーク・トゥリアン、実弟でギタリストのHiro Hasegawa、ビート/プログラニングを務めるDJ Kenseiの4人が、ゆるやかにセションを展開。会場に集まった人々もお酒を片手に寛いで過ごしていました。

 4人が軽快なスウィングを奏でると、coppéがシェイカーを鳴らしながら登場。倉庫の中で仲間が集まり音楽を楽しんでいたら、自然発生的にライヴが始まったような魅力的な雰囲気の中、1曲目「Lullaby Of Birdland」が披露されました。ジェイコブ・コーラーやマーク・トゥリアンらの軽い自己紹介的なソロも交えたオープナーに場内はあたたかく華やかな雰囲気となり、続く「How Insensitive」ではボッサ・ジャズ屈指のメロディをcoppéが艶やかに歌唱。ジェイコブのロマンティックなピアノソロとともに、場内は一気にステージに引き込まれていきました。

 幼少期にジャズを学んだというcoppéの歌唱は、深く、時に無邪気で色っぽいもの。歌唱表現も豊かで、先鋭的なクラブミュージックだけではなく、都都逸やオペラまでを作品に取り込んできたcoppéらしさが垣間見えました。

 続く、「You’d Be So Nice To Come Home To」では、この日のドラムス代りとも言えるDJ Kenseiの生み出すシャープなリズムも冴え、身体をゆらす人の姿も。

 また、この日は、音を光に変えるプロジェクト「Brightone」によるライトニングもcoppé流ジャズ・ステージの立役者。バンドの背後には24台の照明が並べられ、それらはジェイコブ・コーラーの弾くピアノの各鍵盤とcoppéのパフォーマンスに反応し、倉庫の白い壁に、幻想的な光や図形をリアルタイムで描写。音世界を可視化する試みで、こちらも本イベントの特筆すべきところでした。

 4曲を終えた後、今回発売される『Tweaked』にちなみリミックス・ヴァージョンの部となり、新作『Tweaked』から作品ではAtomTMリミックスによる「Fever」が披露されました。複雑なコード進行とビートでアブストラクトなサウンドスケープが広がる中、聴きなじみのあるメロディを聴くのは新感覚。より即興性が高まった生楽器の演奏も随所で光り、coppéが演奏する、自身が楽器として愛用する“ミートグラインダー”のコリコリした鳴りも耳に気持ちの良い刺激でした。『Tweaked』にてプラッドがリミックスしている「Satin Doll」は、絶妙な間を配しながら、宇宙遊泳のような浮遊感も湛えた演奏で、ディック・ハイマンMoon Gas』のようなドリーミーさに思わずうっとりとなり、お酒もすすむ演奏に。最後は、ミュージック・ビデオも公開されている「The Good Life」のリミックス。Sociomuséの田中裕人に勧められ、クリスチャン・ボルタンスキーのプロジェクト「心臓音のアーカイブ」に出会ったことも取り入れられた「The Good Life」のライヴアレンジで、色とりどりのビート、音色、世界観で新解釈されたジャズを聴く一夜が締めくくられました。

 なお、7月26日はリミックス・アルバム『Tweaked』とともに、これまでcoppé主宰レーベル「mango + sweetrice」からリリースされた作品群も一挙にリリースされます。95年のデビュー作『coppe』をはじめとした15作品の中には、全国流通されていなかった作品も。エレクトロニカ界のゴッドマザーとも呼ばれるcoppéの比類のない音楽性に、この機会に触れてみてはいかかでしょう。

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■2024年7月26日(金)リリース
coppé
『Tweaked』

diskunion.net/portal/ct/detail/1008867029

[収録曲]
01. Fever (AtomTM Remix)
02. Satin Doll (Plaid Remix)
03. Ajisai (Nikakoi Remix)
04. My Funky Valentine (Luke Vibert Remix)
05. Cry Me A River (DJ Kensei Remix)
06. Lullaby Of Birdland (Michael Fakesch Remix)
07. How Insensitive (Noayama Remix)
08. You'd Be So Nice To Come Home To (Frank Bretschneider Remix)
09. The Good Life (coppé + Tone. + Malek Remix)
10. My Funny Valentine (Sonny-Boy Anderson + GIZAT Rework) - CD Bonus Track:


mango+sweetrice
www.sweetrice.com
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