11月7日(月)、8日(火)の新木場STUDIO COAST / 2DAYS公演でフィナーレを迎えた<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>に続き、
DIR EN GREYの2011年国内ラストとなるライヴ<TOUR2011 AGE QUOD AGIS“Ratio ducat, non fortuna”>が、11月11日(金)にTOKYO DOME CITY HALLで開催! 最新作
『DUM SPIRO SPERO』の完全生産限定盤購入者を対象としたこのライヴ、白熱のステージをレポートします。
DIR EN GREY TOUR2011 AGE QUOD AGIS
“Ratio ducat, non fortuna”
2011. 11. 11 fri TOKYO DOME CITY HALL
〜 オフィシャル・レポート 〜 アルバム『DUM SPIRO SPERO』を引っ提げての国内ツアー<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>を、11月7日、8日に新木場スタジオコーストで締め括ったDIR EN GREY。しかし、お楽しみはまだ終わらなかった。それから3日後の11月11日に、2011年の国内ライヴとしては最後となる<TOUR2011 AGE QUOD AGIS“Ratio ducat, non fortuna”>が、TOKYO DOME CITY HALLで行なわれたのだ。これは、『DUM SPIRO SPERO』の完全生産限定盤購入者を対象としたライヴ。否が応にも、ツアーとは違った演出や、コアな空気を期待してしまう。
まず、セットリストは、ツアーで披露された楽曲とほぼ変わらなかったものの、曲順にかなり変更が見られた。さらに、本編はほぼ全曲をこの日限りのシンフォニック・ヴァージョンにて披露したのだ。ツアーを終えて具現化してきた『DUM SPIRO SPERO』の世界観が堪能できただけではなく、天井の高い会場にもぴったりと合ったドラマティックなアレンジは、興奮だけではない感動を呼び起こした。そして、<TOUR2011 AGE QUOD AGIS>でも大きな効果を生んだ、2枚の巨大なLEDスクリーンも健在。ベーシックなところは変わらなかったが、“現実から目を逸らすな”というメッセージが籠っているような映像の数々には、改めて考えさせられた。そして、何よりもメンバーのパフォーマンスが、振り切れたものになっていた。新木場で見た時に、いつも以上に人間臭さが感じられたのだが、この日はそのモードを冒頭から確信した。ビシッと揃っているようで突如感情を溢れさせる演奏からも、ステージと客席の乱れない一体感からも、とても美しいヴァイヴスを感じた。ラストの「獣慾」〜「DECAYED CROW」では、Shinyaの超絶な高速ビートが先導し、京の絶唱とオーディエンスのヘッドバンキング&シンガロングで熱狂は絶頂に。アンコールでは、フロント4人がガンガン頭を振りまくるだけではなく、ToshiyaとDieが背中を合わせて弾く場面が見られた「HYDRA -666-」、京が隣に飛び出してきたToshiyaにマイクを向けてコーラスさせた「RED SOIL」などから、メンバーも心から楽しんでいることが伝わってきた。さらに薫はバルコニーを見上げ、京は千切れそうな声で「行けるか!?」と叫び、全てのオーディエンスを連れていく。そんな怒濤の時間のほんの隙間に、ふっと京が柔らかな声で語りかけた――「今日、ちょっとだけおもろいわ……最高の夜にしようか」。そして、最後の最後の「羅刹国」へ。その場の全ての人が出し尽くしてライヴは幕を閉じた。
4人が穏やかな表情でピックやスティック、水を投げる中、座り込んでいる京。暫くして立ち上がり、バンドのタオルを掲げ、「楽しかった。大阪城で!」と笑顔を見せて去っていった。その幸福感はもちろんオーディエンスも感じていたこと。客電が点き、何度も終演のアナウンスが流れても、アンコールを求める声は長いこと鳴り止まず、それはいつしか拍手となって会場内に響き渡っていったのだった。
京が言っていた大阪城ホールとは、次の日本でのライヴとなる、年明けの1月22日の<UROBOROS -that's where the truth is->のこと。1月11日に『UROBOROS [Remastered & Expanded]』と、
『UROBOROS -with the proof in the name of living...- AT NIPPON BUDOKAN [Blu-ray] Extended Cut』がリリースされることで、前作『UROBOROS』の進化系を見ることができそうだ。さらに、年内にも南米ツアーと北米ツアーが残されている。彼らに神経を持っていかれる日々は、まだまだ続きそうだ。覚悟していたい。(Text:高橋美穂、Photo by 尾形隆夫)