辻一郎のソロ・ユニット“
Dissecting Table”が、CDR『Existential Fear』を14枚限定で6月17日(金)にリリース。
辻一郎は1966年生まれ。東京で86年から“Dissecting Table”という名義でノイズ・インダストリアル・ミュージックの制作を開始して、98年に故郷の広島に戻り音楽活動を展開。おもに自主レーベル「UPD organization」とヨーロッパとアメリカのレーベルよりレコードやCD作品を発表してきました。初期、中期の作品は、シンセサイザー、サンプラーをシーケンサーで制御することで作品を制作していましたが、2012年頃から、コンピュータでUSB接続デバイスから出力されるPWM信号を制御して音楽制作を行なうようになり、現在は、独自のシンセサイザーシステムを開発しながら作品を制作しています。
開発したシンセサイザーシステムのフィルタとして用いた複合型シンセサイザーは、主に、ウィーンブリッジ発振器、バイカッド回路、乗算器及び、電圧制御回路で構成されています。このフィルタを複合型シンセ1と呼ぶことにします。複合型シンセ1の機能を簡略して開発したフィルタを複合型シンセ2と呼ぶことにします。複合型シンセ2は、主に、2つのウィーンブリッジ発振器、1つの乗算器で構成されています。複合型シンセ2は、ライヴ演奏ができるように4つの入力と2つの出力を備えています。入力信号は、スイッチで切り替えることができます。第1のウィーンブリッジ発振器は、制御信号をアナログフォトカプラに入力して周波数を制御しています。制御信号は、入力信号をバイナリカウンタで分周した信号を用いています。アナログフォトカプラに2つの可変抵抗を用いてパラレル接続とカスケード接続を行います。
この回路のインピーダンスの最大値は、アナログフォトカプラとパラレル接続した可変抵抗で調整することができ、インピーダンスの最小値は、アナログフォトカプラとカスケード接続した可変抵抗で調整することができます。これにより、この発振器の音色は様々に変化します。入力信号とこの発振器の出力信号を乗算した信号または、この発振器の出力信号と第2のウィーンブリッジ発振器の出力信号を乗算した信号が複合型シンセ2の第1の出力です。第2のウィーンブリッジ発振器は、帰還回路を絶縁して入力信号と帰還信号を加算した回路を帰還回路に接続しています。これにより、この発振器の出力信号が変調されます。更に、第1のウィーンブリッジ発振器と同様に、アナログフォトカプラに制御信号を入力して周波数を制御しています。第2のウィーンブリッジ発振器の出力信号が複合型シンセ2の第2の出力です。本作『Existential Fear』の全曲で複合型シンセ2を用いて演奏しました。特に、3曲目と5曲目は、複合型シンセ1と複合型シンセ2を用いて異なる振幅変調を行い、ユニークな音色を作り出しています。