〈トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2018 ファジル・サイ&新日本フィルハーモニー交響楽団〉が11月9日(金)に東京・錦糸町 すみだトリフォニーホールで開催。9月3日(月)には、ハサン・ムラット・メルジャン(Hasan Murat Mercan)駐日トルコ共和国特命全権大使の臨席のもと同ホールで制作発表記者会見が行なわれ、
ファジル・サイ(Fazıl Say)と同公演でテルミンを演奏する滝井由美子、同ホールのプロデューサーを務める上野喜浩、本公演で企画協力を行なう前島秀国、通訳の井上裕佳子が登壇しました。
本公演は、同ホールの“トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2018”、そして同ホールが昨年の開館20周年より取り組む“コンテンポラリー企画2017-19”の一環として位置づけられるもの。公演の前半に
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」をサイのピアノ独奏で演奏し、後半にはサイが作曲した交響曲第2番「メソポタミア」を日本初演します。
会見では、サイが交響曲第2番「メソポタミア」について語り、同作で重要な役割を果たすテルミンについて滝井がデモンストレーションを実施。さらにサイが自作のピアノ独奏曲「ブラック・アース」を披露したほか、これまでサイに2曲を委嘱したサクソフォニストの
須川展也から寄せられたスペシャル・ビデオ・メッセージも紹介されました。
交響曲第2番「メソポタミア」は、オーケストラに加えバスフルートとバスリコーダー、テルミン、ピアノ、ハープ、クドゥムやウォーターフォンをはじめとする各種打楽器、環境音、鳩笛などを要する大作。サイ自身は同作を“オーケストラ・オペラ”と評しており、メソポタミア平原の2人の子ども(兄弟)を中心にしたストーリーが展開されます。サイは「メソポタミアは、現在で言う中東――シリア、イラン、イラク、トルコです。私はトルコ出身なので、その地域に存在する戦争やテロリズム、さまざまな人生劇というものを子どもの頃から見てきました。そしてメソポタミアの現状に対しての自分の考え、感情を音楽で表現したいと思い、また人間の善い部分への期待も込めて、この曲を作曲しました」と語りました。作品中、バスフルートとバスリコーダーは2人の兄弟として楽曲全体における語り手の役割を果たし、テルミンは“天使”を表わすものとして用いられます。