「
マ・メール・ロワ」、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」などこれまでも
ラヴェルの作品を発表し、高い評価を得てきた
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクルが、
セドリック・ティベルギアン(p)と
ステファーヌ・ドグー(バリトン)を迎え録音したアルバム『ラヴェル:ピアノ協奏曲と歌曲』を4月下旬(国内盤は5月下旬)に発表します。
収録曲は「ピアノ協奏曲ト長調」「なき王女のためのパヴァーヌ」「左手のためのピアノ協奏曲」「ラマルメの3つの詩」など。ピアノは1892年製プレイエル・グランパトロンを使用。楽器はもちろん、楽譜にもこだわりを見せています。
「左手のためのピアノ協奏曲」は第1次世界大戦で右手を失ったパウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱で作曲されましたが、1932年1月5日に墺ウィーンでの初演の際、能力的に無理のあったヴィトゲンシュタインが楽譜を許可なく変更したためラヴェルの怒りを買い、絶交状態となったと伝えられています。デュラン社より出版されたのはラヴェルが亡くなった年で、当時のラヴェルは不治の神経疾患で校正など判断のできぬ状態でした。ヴィトゲンシュタインが初演時に自腹で浄書、印刷したスコアとパート譜は彼の独占権満了まで変更と付加のままオーケストラからオーケストラに貸し出されました。それらの楽譜に加え、リュシアン・ガルバンによる校正と訂正の資料、1933年仏パリ初演時の1分50秒ほどの映像までも検証したクリティカル版を作成しているのも注目で、今後この作品の最重要盤になるはずです。
「なき王女のためのパヴァーヌ」はオーケストラ版ではなくティベルギアン独奏のオリジナル・ピアノ版。味わい深い一幅の絵を観るようなひとときを楽しめます。さらにステファーヌ・ドグーと歌曲を披露。最初期の「聖女」からラヴェル最後の作「ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ」、さらに元祖ワールド・ミュージックの「2つのヘブライの歌」やラヴェルらしさ満載の「マラルメの3つの詩」を聴くことができます。