ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が毎年元旦にムジークフェラインザールで行なうニューイヤー・コンサートは、TVとラジオを通じて世界90ヵ国以上、総計5千万人が視聴するクラシック音楽界最大のイベント。2023年のコンサートでは
クリーヴランド管弦楽団の音楽監督をつとめる
フランツ・ウェルザー=メストが10年ぶりに指揮を務め、初登場曲が14曲という全15曲を披露します。公演後、1月6日(金)にはデジタル配信がスタート。CDは1月25日(水)、Blu-rayは2月15日(水)にそれぞれ発売されます。
曽祖父が19世紀末に
ヨハン・シュトラウス2世たちが演奏したカフェ「ドムマイヤー」の経営者ということもあって、ウェルザー=メストはシュトラウス一家の音楽には個人的に深いつながりを感じていると言います。そのため、2011年、ニューイヤー・コンサートへの初出演は「人生でとても緊張した演奏会だった」とか。
3度目の出演となる2023年の公演では、演目にヨハン2世の弟、ヨーゼフ・シュトラウスの作品が8曲も含まれています。ヨーゼフは、もともと音楽家になるつもりはなく別の職業を選んだものの、兄ヨハン2世がオペレッタの創作に力を入れるようになってからシュトラウス楽団の中心になって演奏を牽引した人物。兄とは音楽的な質も少し異なり
ワーグナーや
リストら当時のロマン派の人気作曲家の音楽を指向する姿勢もありました。披露されるヨーゼフのポルカ・フランセーズ「上機嫌」作品281では、
ウィーン少年合唱団に加えて、その姉妹合唱団ともいうべきウィーン少女合唱団がニューイヤー・コンサートに初登場し、ウィーン・フィルと共演を果たすのも新機軸の一つです。もちろん定番のアンコールや新年の挨拶も予定されています。