Gacharic Spin (以下、ガチャピン)が、11月18日に東京・日比谷野外大音楽堂にて、そのタイトル通り結成15周年に向けてキックオフとなるワンマン公演〈LIVE 2023「Limit Breaker〜結成15周年に向けて〜」〉を開催しました。
2009年10月8日の結成以来、幾度かのメンバーチェンジを繰り返し、その中でパートチェンジもあり、
F チョッパー KOGA (b)、
はな (vo)、
TOMO-ZO (g)、
オレオレオナ (key)、yuri(ds)、アンジェリーナ1/3(MC)という現在の体制を“最終形態”と謳っているのは周知のとおり。そんな6人の想いがひとつとなり、さらに、ガチャマン(男性ファンの呼称)&ガチャピン子(女性ファンの呼称)も巻き込んで、11月の寒空の下、熱量の高いライヴが繰り広げられました。
[ライヴ・レポート] 17時開演とはいえ11月下旬となれば、もう薄暗く、オンタイムで客電が落とされるとステージ後方に据えられたビジョンも煌々と輝いている。そんなビジョンに“From the 14th to the 15th anniversary”の文字が踊り、ライヴの幕開けを飾ったのはSEからの導入による「カチカチ山」。コミカルなナンバーではあるが、その歌詞の裏側には深いメッセージがあり、それをテクニカルなプレイによる弾けたバンドサウンドで聴かせ、のっけから客席を焚き付ける。 “掴みはOK!”ではないが、まさに同曲はガチャピンならではの起爆剤だ。また、曲の途中でyuriがドラムからステージ下手に設置されたエレドラに移動し、はながギターを置いてドラムへ。そんな変形スタイルが組めるのもガチャピンの特技のひとつ。さらに、アンジー(アンジェリーナ1/3の愛称)&yuri加入前のナンバー「胸を張ってもいいんだよ」のニューバージョンを投下。アンジー×はな×オレオというトリプルヴォーカルで客席のテンションを引き上げ、さらにブリッジでyuriもマイクを手に観客を煽り、コーラスワークと疾走感が特徴的なインディーズ時代のスリリングなアップチューン「ブラックサバイバル」へと雪崩れ込む。 TOMO-ZOがギターをいななかせ、圧巻の超絶プレイで観客を魅了したのも特筆すべきところ。冒頭3曲にしてGacharic Spinがいろんな意味で“前例のない唯一無二の存在”のロックバンドであることを見せつけた。 「今日という日をメンバーとスタッフ、そして、みんなと迎えられたことが本当に幸せです。みんなの心をホクホクにして帰りたいと思います! よろしく!Hey Yeah!!」 ――オレオレオナ 「11月のね、この寒い時期にお集まりいただき、本当にありがとうございます!もっともっとみなさんの笑顔を引き出して、輝きファンタジーでいきたいと思います!」 ――TOMO-ZO 「“明日が来たら野音が終わっちゃうんだ”と思って昨日の夜から寂しくなっていたんですけど(笑)、今日は頭から最後まで、この景色を心に全部焼きつけて帰りたいと思います」 ――yuri 「もう脱いでもいいくらい熱いんですけど、この後ももっともっと熱くなるように盛り上げていきたいと思いますので、一日、楽しんでいきましょう!」 ――はな 「…(泣)。ほ、本当、今日来てくださった、みなさん、ありがとうございます!新しいかたちで、こうやって野音に立てて嬉しいです(泣)。今日は体も心も動かして、楽しんでいきましょう!」 ――F チョッパー KOGA 「リーダーにこれをやられるとしゃべりずらいなぁ(笑)。野音は晴れたら9割が成功らしいですよ。しっかり晴れましたから、あとの1 割を全員で作っていきましょう!」 ――アンジェリーナ1/3 …と6人が挨拶代わりにそれぞれの想いを語ったあと、再び攻撃モードに! 楽器陣のテクニックが全開のガチャピンのカッコ良い系ナンバーの筆頭「MindSet」、途中でラジオ体操の振りが入ることでも人気のCMタイアップ曲「シャキシャキして!!」で会場を大いに盛り上げると、アンジーの「大切な人を思い浮かべながら聴いてもらえたら嬉しいです」との言葉から彼女が亡くなった父親のことを思って歌詞を綴った「Voice」をハートフルに歌い上げ、さらにオレオが「この歌に支えられてきました」と弾き語りで「夢言実行」をしっとりと聴かせ、序盤にして楽曲の振り幅の広さも提示する。 「親友にお手紙をもらったんですよ。そのお手紙の中に、めっちゃたくさんの“ありがとう”という文字が書いてあって、すごく嬉しかったのと同時に、私自身が相手に“ありがとう”とか自分の気持ちをちゃんと伝えられてきたのかなと考えさせられて。今日はここにいるみんなに、“ありがとう”とか“大好きだよ”という気持ちを音に乗せて届けたいと思います。楽しんで聴いていただけたら嬉しいです」 ――はな はなはハンドマイク、TOMO-ZOはアコギ、yuriはカホンというアコースティックスタイルで舞台を“アイランドステージ”ことセンターステージに移し、前述の言葉を添えて奏でられたのは「Dear_____」。《君を知って愛と出会ったんだ/ありがとね ありがとね 伝えたい》という歌詞に込められた想いを、この場に集ったガチャマン&ガチャピン子たちは抱きしめたことだろう。さらに、「初の試みをしたいと思うんですが、みんな、スマートフォンのライト照らせる?」とアンジー。客席に無数の光が咲き揺れ、それら包まれながら、「みんなと作っている空間の中で、声を出して一緒に歌ってほしいです」という前振りからのシンガロングナンバー「365日」では、屋根も壁もない野音という会場に全員の歌声を高らかと響かせるのだった。 メンバーが本ステージに戻ると後半戦に突入!“Limit Breaker”という文字が浮かぶビジョンをバックに、勇ましいイントロからオーディエンスの拳が高く突き上げられたニューバージョンの「夢喰いザメ」で口火を切ると、KOGAのバキバキのスラップベースとyuriのダイナミックなビートによるバンドグルーブで攻め立て、サビではワイパーを誘う「リバースサイコロジー」でアクセルが踏み込まれる。そんな硬派なハードチューンで加速度的に客席がぶち上がるが、次の曲はTOMO-ZOヴォーカルの妄想系ファンタジー「年齢不詳の魔女になりたい」。パンキッシュなサウンドなのにTOMO-ZOが歌えばキュートでキラキラのポップチューンとなるという、これもガチャピンの特技のひとつだと言える。 続いては“日比谷!もっとバカになろうぜー!”とのアンジーの煽りから「やるっきゃない!」。アンジー&はなに加え、オレオ&TOMO-ZOも歌うタオルぶん回しナンバーに会場が湧き上がり、♪ララ・ラン・ラララ〜と大合唱とワイパーを誘うと、痛快なビートを繰り出し続けるドラムのyuri以外のメンバーはステージを駆け回って大はしゃぎ!そして、《弱くていい 大丈夫》とアンジー熱唱のやさしい応援歌「ロンリーマート」で再びハートウォームな空間を作り上げ、ここでも大合唱を巻き起こす。 ここで告知がひとつ。KOGAより本公演の模様がテレビ放送されることが告げられると、“TOMO-ZOちゃんのPRETTY TALK TIME♡”という文字がビジョンに映し出され、自称ガチャピンのアイドル担当こと、宇宙人設定のTOMO-ZOによるメンバー紹介を挟み、いよいよ終盤戦。《こんな世界だからこそ此処に立ち続けて歌おう》とガチャピンの意思表明のようなリリックを叩きつけるアグレッシブな「I wish I」、TOMO-ZO&はなのツインギターが壮絶なメロスピナンバー「Live Every Moment〜ヒトヨバナ〜」、爆上がり必至のメジャーデビュー曲「赤裸ライアー」を矢継ぎ早に繰り出し、アレンジ力で魅せる展開が目まぐるしい激しくもポップな「ナンマイダ」、歌詞もサウンドもクールで挑発的な「レプリカ」で本編を締め括った。 幕間のビジョンに打ちし出されたのは2024年2月28日にEP『Ace』リリースという告知。さらに、アンジーの口から同作を提げての〈Gacharic Spin TOUR 2024「Ace」〉開催、結成15周年を祝しての〈Gacharic Spin×DOLL$BOXX Zepp TOUR〉開催が発表され、客席から歓喜の声が上がる。そして、“まだやっていない曲がありますね”とアンコールの1曲目は初披露となる、本公演に向けて11月8日に緊急配信された新曲「BakuBaku」。《ここで息をするために/バカになって生きてんだ》《前例のない唯一無二の/存在が今輝き出した》と歌い上げるバンドスピリッツが詰まったナンバーだが、そのガチャピンイズムにガチャマン&ガチャピン子も共鳴し、再び客席が湧き返る。 「Gacharic Spinは来年で15周年を迎え、このメンバーになってからは5年が経ちます。この15年を思い返すと、何度足を止めようと思ったというか、“止めないといけないのかな?”と悩んだことがいっぱいあったけど、Gacharic Spinの中にいると冒険したくなっちゃうんです。来年の15周年に向けてGacharic Spinは突き進んでいきます!これからも一緒に最高の景色を見ていけたら嬉しいです。よろしくお願いします!みんなに感謝の気持ちを込めて、この曲を届けたいと思います。歌える人は一緒に歌ってください。Gacharic Spinに出会ってくれて、本当にありがとう。出逢いは奇跡…」 ――F チョッパー KOGA そんな言葉からインディーズの頃から歌われ続け、常にその年の季節にアップデートされるライヴ定番曲「今を生きてる〜2023年冬〜」が披露される。ビジョンには結成当初からの軌跡を追うレアな映像が流れ、そこにも“出逢ってくれてありがとう”という文字が映し出され、オーラスは会場が笑顔でひとつになるピースフルな「ゴー!ライバー」で大団円を迎えた。 プレイされた全22曲は“新旧さまざま”というよりも、目いっぱいに詰め込まれたガチャピンのスタンスや信念であり、気合が垣間見れた。今年の2月のLINE CUBE SHIBUYA公演で“New Revolution〜最終章の始まり〜”と謳った彼女たちは、前述の「BakuBaku」で決意と覚悟を綴り、《“止める”と同じ数の“続ける”を選んだんだ/笑ってあがくよ》と歌っている。そして、本公演で“全力エンターテイメントガールズバンド”とのバンドのキャッチコピー通り全てを出し切り、結成15周年に向けて最高のスタートダッシュが切れたことは、メンバー及び観客、スタッフ陣の満足気の表情が物語っていた。 あと、最後の挨拶の際にオレオが涙ながらに言った… 「本当に…もう…今日をみんなと迎えられて幸せでした(泣)。こんな幸せな時間をもっともっとみんなと一緒に過ごしていきたいと心の底から思いました(泣)。なんか…本当にいろいろあるバンドですが、みなさん、これからもついてきてください!本当に、本当に、今日はありがとうございましたー!」 …という愚直で不器用な言葉が、なんともGacharic Spinらしく思ったのは筆者だけではないはずだ。 VIDEO
photo: ゆうと。
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Gacharic Spin〈LIVE 2023 Limit Breaker〜結成15周年に向けて〜〉 2023年11月18日(土)東京・日比谷野外大音楽堂
[セットリスト] OPENING SE 01. カチカチ山 02. 胸を張ってもいいんだよ(NewVer) 03. ブラックサバイバル 04. MindSet 05. シャキシャキして!! 06. Voice 07. 夢言実行 08. Dear_____ 09. 365日 10. 夢喰いザメ(NewVer) 11. リバースサイコロジー 12. 年齢不詳の魔女になりたい 13. やるっきゃない! 14. ロンリーマート 15. I wish I 16. Live Every Moment〜ヒトヨバナ〜 17. 赤裸ライアー 18. ナンマイダ 19. レプリカ <ENCORE> 20. BakuBaku 21. 今を生きてる〜2023年冬〜 22. ゴー!ライバー lnk.to/pl_limitbreaker