ニュース

ジョーディー・グリープ、ジャパン・ツアーがスタート 初日・東京公演のライヴ・レポートが到着

ジョーディー・グリープ   2025/02/14 16:32掲載
はてなブックマークに追加
ジョーディー・グリープ、ジャパン・ツアーがスタート 初日・東京公演のライヴ・レポートが到着
 ブラック・ミディのギタリスト兼ヴォーカリストとして知られ、昨年10月にソロ・デビュー・アルバム『The New Sound』をリリースしたジョーディー・グリープが、2月13日より行なっているジャパン・ツアーより、即完売となった初日、東京・LIQUIDROOM公演のレポートが到着しています。

 ジョーディーによるツアーは、各地域ごとに彼自身が選び抜いたミュージシャンたちを集め、自身も毎回新鮮な気持ちで技術と感性の共鳴と衝突を楽しみ且つ探求する機会。本ツアーでは、日本から松丸契梅井美咲が参加するほか、“New Sound Band”のメンバーとして、ヨーロッパ・ツアーに帯同したMichael DunlopとAkio Jeimusが参加。さらに∈Y∋がサポートDJを務めます(※京都公演をのぞく)。

 ツアーは2月14日(金)名古屋・JAMMIN、2月15日(土)京都・CLUB METRO、2月16日(日)大阪・SHANGRI-LA、2月18日(木)広島・CLUB QUATTROと続きます。チケットは発売中。詳細はBeatinkの特設サイトをご確認ください。

[ライヴ・レポート]
 ブラック・ミディの活動休止からほぼ間を置かずに、フロントマンのジョーディー・グリープはソロプロジェクトの始動を告知した。新作のタイトルは『The New Sound』。大言壮語ではない、プログレッシブ・ロックの前衛的な展開をラテン音楽の語彙で解釈する様は、その名に違わない新たなバンド音楽であった。今回の来日公演は「New Sound Band」のドラムとベースに加え、日本から松丸契(sax)と梅井美咲(key)を招聘。約束されたカオスを見届けようと、初日の東京・LIQUIDROOM公演は瞬く間にソールドアウトとなった。

 アフリカン・ヘッド・チャージが場内SEで流れる中、サポート・アクトの∈Y∋のセットが物々しいノイズと共に始まる。シンゲリ〜バイレファンキ〜マイアミベースがおよそ想像もできないほどの速度でマッシュアップされ、おびただしい展開の中でビートが幾重にも裁断される極端な時間。ジョーディーはかねてからボアダムズをお気に入りのバンドの一つとして挙げていたが、確かに「情報の過圧縮」を美学に据えているという点では共振するものを感じる。観客の度肝を抜き、引き攣ったように踊らせながら、トップスピードのまま突き通した40分だった。

 しばし間をおいて、80’s満載のシンセサウンドと共にジョーディーたちが登場する。大歓声に迎えられ、まずは「Walk Up」で怪しくスタートした。バリトンボイスで朗々と歌い上げて徐々にギアを上げていくと、後半はハードなサウンドに変貌。丸みを帯びていた松丸契のサックスが鋭利な雰囲気を醸し始め、フロアは展開が進むたびに感嘆の声を漏らしていた。

 「イイカンジ」というジョーディーの一言で始まったのは「Terra」。飄々としたサンバチューンに華を添えたのは梅井美咲のシンセサイザー、往年のフュージョンを想起させるような懐かしい音色を重ねていく。カルロス・サンタナばりのギターソロをジョーディーが披露すると、日本からの参加メンバーである二人もソロを畳みかける展開に。続く「The New Sound」では精緻なユニゾンを繰り出し、トッププレイヤー同士の競演を待ち望んでいた観客に渾身のサーヴィスで応える。

 マスロックの意匠を凝らした複雑怪奇なリフとドラムの絡みから幕を開けたのは「Through A War」、ポリリズミックなセッションから徐々に歌へと焦点が移り変わっていく。『The New Sound』でフィーチャーされた要素の一つでもある、「ボーカリスト」ジョーディー・グリープの成長。「As If Waltz」ではアカペラで歌い上げる場面もあり、ブラック・ミディ期からの如実な変化がそこにはあった。

 そしてドロップされたのはキラーチューン「Holy, Holy」、温まりきったバンド陣とオーディエンスが「Holy!」の掛け声で通じ合う瞬間はハイライトの一つだ。後半のBPMを加速させて駆け上がっていく流れで再びソロの応酬を挟み、未然の高揚感でフロアの心をガッチリと掴む。かと思えば続くミニマムなフリーインプロで緩急を演出。アンソニー・ブラクストンとザッパ一味のコラボ? はたまたハードコア版コルトレーン『Ascension』? 圧倒的な情報量で訴えかける、驚嘆しっぱなしのライブだ。

 そう、抑揚のあるセッションに振り回されながら、全身を快楽で浸される体験こそ『The New Sound』の醍醐味。重厚なキメと艶やかなソロの入り混じる「Motorbike」と「Bongo Season」から高速リフで魅せる「Blues」まで、そのボキャブラリーは多彩だ。ラストは大曲「The Magician」、梅井のパッセージとジョーディのボーカルが壮大なイメージを描き、壮大なスペクタクルで一夜を締め括った。


拡大表示


拡大表示

Photo by Kazuma Kobayashi
text by 風間一慶


GEORDIE GREEP JAPAN TOUR 2025
beatink.com/products/detail.php?product_id=14356
最新ニュース
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 三浦文彰 清水和音 『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集』を発表 全曲演奏会の最終回を東京と大阪で開催[インタビュー] のん (映画『私にふさわしいホテル』)
[インタビュー] 角野隼斗 イメージ・キャラクターを務める「ベスト・クラシック100極」のコンピレーション・アルバムを選曲・監修[インタビュー] 色々な十字架 話題の“90年代ヴィジュアル系リヴァイヴァル”バンド 待望のセカンド・アルバムをリリース
[インタビュー] アシックスジャパンによるショートドラマ 主題歌は注目のSSW、友成空[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤
[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ
[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも
[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015