2001年に58歳で世を去った
ジョージ・ハリスン(George Harrison)をしのび、2002年11月に英ロンドンでトリビュート・コンサートが開催されました。
エリック・クラプトン、
ポール・マッカートニー、
リンゴ・スターらが出演したこの公演の模様を収録する映像作品『
コンサート・フォー・ジョージ』が、東京・TOHOシネマズシャンテ他にて日本ではじめて劇場で上映中です。この映画の公開を記念して、7月29日19:00の上映回後に
ピーター・バラカンによるトーク・イベントが開催されました。
本作に関しては2003年リリースのDVDでもたびたび鑑賞されていたというバラカンから、スクリーンでの初鑑賞に関して「ステージ上にはたくさんのミュージシャンが出ていますから、小さい画面で見ていると捉え切れないんですよね。今回初めて大きいスクリーンで観て、たとえばギャリー・ブルッカー(プロコル・ハルム)がずっと出っ放しだったということに初めて気づきました。そういうディテイルが、すごく嬉しいですね」との話からスタート。
続いて、
エリック・クラプトン、
ポール・マッカートニー、
リンゴ・スターなど多くの有名ミューシャンが登場する本作の中で、“日本ではあまり馴染みのないミュージシャンかもしれないですね”と本作のトリを務める
ジョー・ブラウンに関しての話に。ビートルズ“が”前座を務めた彼に関して、イギリスでは「ア・ピクチャー・オヴ・ユー」(1962年)というシングルが大ヒットし、同じ世代では知らない人がいないほどの人気で、バラカンもシングル盤を持っていたというエピソードや、前座を務めた当時はまだビートルズの人気に呼応して労働者階級が“かっこいい存在”となる前だったため、コックニー(ロンドンの労働者階級のアクセント)で話すジョー・ブラウンと、同じくリヴァプールの労働者階級出身だったビートルズはウマがあったのでは。さらに、ジョー・ブラウンもジョージも大のウクレレ好きだったため、「最後にああいうシーンで締めるのはとてもいいですね」との話もありました。
また、ジョー・ブラウンの娘サム・ブラウンと
ジュールズ・ホランドによるジョージ最後のレコーディング曲「ホース・トゥ・ザ・ウォーター」での“馬を水際に連れて行けても、無理やり水を飲ませる事はできない”、ということわざに由来するタイトルの曲の歌詞で「“ネガティヴな話題に集中しがちなメディアに、もっとポジティヴな話をしようよ”というジョージのメッセージが込められているとてもいい歌ですね。最後になって本気で思っていることをぶつけてきたな、という曲でしたね」と語られました。
本作で異彩を放つ
モンティ・パイソンに関しては、「(1969年にスタートした『空飛ぶモンティ・パイソン』は)笑いのタブーを全部取っ払った番組で、モンティ・パイソンは人を笑わせながら、画期的な社会的にも意義のあることをやっていった集団でした。その後のBBCの番組、イギリスという国がどんどん変わっていったんです。音楽の世界でビートルズが何もかも変えていったのと、ある意味同じような存在かもしれません」と当時の時代背景を含めて解説しました。
そのほか、先日対談された
パティ・ボイド、クラプトンとジョージの関係の話や、
マーク・マン、
アンディ・フェアウェザー・ロー、
アルバート・リーなどのギタリスト陣、
レイ・クーパー、
ジム・キャパルディ(元
トラフィック)、
ジム・ケルトナーなどのドラムズ陣、
ギャリー・ブルッカー(
プロコル・ハルム)や、すでに他界した
トム・ペティや
ビリー・プレストンなど、ステージに登場する錚々たるミュージシャンなどに関しても、豊富な知識と視点で語ってくださり、充実した約30分間のトークに客席からは大きな拍手が送られました。
このトーク・イベントの模様の詳細は追ってオフィシャル・サイトで公開される予定です。
また、8月3日(木)には、公開記念トーク・イベント第2弾として、ビートルズ研究家の
藤本国彦と、ジョージの熱烈なファンとして知られ、本作にジョージのイラストを描き下ろしたイラストレーターの本秀康が登壇します。チケットはTOHOシネマズ シャンテのウェブサイトで販売中です。
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