2001年に58歳で世を去った
ジョージ・ハリスン(George Harrison)をしのび、2002年11月に英ロンドンでトリビュート・コンサートが開催されました。
エリック・クラプトン、
ポール・マッカートニー、
リンゴ・スターらが出演したこの公演の模様を収録する映像作品『
コンサート・フォー・ジョージ』が、東京・TOHOシネマズシャンテ他にて日本ではじめて劇場で上映中です。この映画の公開を記念して、8月3日にビートルズ研究家の
藤本国彦とイラストレーターの本秀康によるトーク・イベントが開催されました。
試写を含めて大スクリーンでの鑑賞は3回目になるという二人、「大画面で観ると迫力満点で、ロイヤル・アルバート・ホールにいるような感じになるのがいいですね」(藤本)、「音が良くて、拍手の臨場感もあって、間違えて曲終わりに拍手をしそうになる位でした」(本)と音・映像ともにリマスターされた本作を映画館で観た感想からスタート。
「まず出演アーティストがいいですよね」と藤本が語ると、「ジョージを感じられるし、これだけの人が集まるだけでもすごいのに、自分の持ち歌を歌わず、ジョージの曲だけを歌うというのはなかなかないこと」と本。2002年のコンサートを見るチャンスがあったという本は、「ジョージが出ていないことがわかっていたので、行かなかったんですがバカなことをしたな〜」と会場の笑いを誘いました。
ポール・マッカートニー、リンゴ・スターという元
ビートルズのメンバー2人が参加している本作に関して「このコンサートでめずらしいのは、ポールが脇役になってるところ」と藤本が語ると、その後話題はポールを中心に。「ポールがジョージの曲を歌っているだけで泣ける」という本に、「脇役に徹しながらも、その存在感、声は唯一無二、大物感というよりも安心感を感じる」という藤本、続けて「癒し系かな? めずらしく“慈愛”という言葉がポールに似合っていますね」と、ふたたび会場の笑いを誘う場面も。
ポールとクラプトンが二人でハモるところが感動的(本)という「サムシング」に関しては、ポールのウクレレ弾き語りからスタートし、途中からバンド演奏に変わっていくアレンジに関して、このコンサートをきっかけにポールが自身のコンサートに取り入れた、というエピソードが藤本から語られました。
また、1971年の「バングラデシュ・コンサート」、1974年の北米ツアー、1987年のプリンス・トラスト、1991年の来日公演と数少ないジョージのソロ公演で歌われてきた「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」に関して「ジョージの公演では、ジョージの曲だと思って聞いていたんですけれど、ここでは『ホワイト・アルバム』に入っているビートルズの曲に聞こえるんですよ。ポールの頭のピアノだけでこんなに変わるのかと思う」と本が話すと、「そのとおりですね。リンゴもいますしね。ポールのピアノに加えて、クラプトンがレコードと同じソロを弾いているのも泣けますよね」と藤本もコメント、深く頷かれていました。
「インド音楽の厳かな感じが追悼コンサートにふさわしいし、モンティ・パイソンの笑いが入っているのもすごいし、超大物が集まってロックを演奏するというのも素晴らしい。すごく練られていたようで、ジョージがやってきたことを全部入れただけなんですよね。それですごくいい追悼コンサートになるっていうのがすごいですよね」と本が語ると、「出しゃばる人がいないのもジョージらしくていいですね」と藤本。
ほかにも、ビートルズ、そしてジョージ・ハリスンに精通する二人からときに笑いを交えたさまざまなエピソードが語られ、会場からの大きな拍手とともに30分のトークショーは終了となりました。
『コンサート・フォー・ジョージ』は全国7館で上映をスタート。ジョージへの愛が溢れるトリビュート・コンサート映画に多くの感動の声が集まる中、現在公開中の12劇場に加え、全国40劇場での拡大公開が決定しています。