2001年に58歳で世を去った
ジョージ・ハリスン(George Harrison)をしのび、2002年11月に英ロンドンでトリビュート・コンサートが開催されました。
エリック・クラプトン、
ポール・マッカートニー、
リンゴ・スターらが出演したこの公演の模様を収録する映像作品『
コンサート・フォー・ジョージ』が、東京・TOHOシネマズシャンテ他にて日本ではじめて劇場で上映中です。
この映画の公開を記念して、8月24日にNHK-FMで放送中の『ディスカバー・ビートルズII』のパーソナリティを務めるTRICERATOPSの
和田唱とビートルズ研究家の
藤本国彦によるトーク・イベントが開催されました。このトーク・イベント直前の上映は、声出し拍手OKという特別なもので大いに盛り上がり、その熱が冷めやらぬなか2人は登壇しました。イベントのレポートが公開されています。
[トーク・イベント・レポート] 本編上映中はポール・マッカートニーやリンゴ・スター他、出演アーティストの登場シーンには大きな歓声が、演奏の後には拍手、そして、曲に合わせての手拍子も起こる楽しさ溢れる上映回となりました。本編上映後、トーク・ゲストのTRICERATOPSの和田唱さんとビートルズ研究家の藤本国彦さんが登壇すると、ビートルズはもちろん、本作ををよく知るお二人のトークを楽しみに待っていた客席からは一層大きな拍手が起こり、和気あいあいとしたムードの中、対談がスタート。
試写を含めて劇場で4回ご覧になったという藤本さんと、DVDで度々鑑賞され、2003年旧日本青年館での特別試写以来の劇場鑑賞だったという和田さん。2003年当時の試写会には来日中のエリック・クラプトンとオリヴィア・ハリスンも試写会に参加していたことから「ファンだったので、映画どころではなくなってしまうのではと心配していたものの、始まったら映画に引き込まれて、エリックどころではなくなってしまって(笑)。でもエリックがいることも相まって特別な経験でした」という和田さんの思い出から対談はスタート。
劇場での改めての鑑賞に関して、和田さんからは「やはり、特に〈ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス〉が素晴らしい。〈マイ・スウィート・ロード〉あたりからこのフィルムが持つ一体感が増して、僕らも観客席にいるような感覚になっていきました。極めつけは〈I’ll See You in My Dreams(夢で逢いましょう)〉でしたね」と話されると、「エンディングの花吹雪、いいですよね」と藤本さんも相槌を打たれ、客席からも深い頷きがありました。続けて、「I’ll See You in My Dreams」をTRICERATOPSでカバーしたきっかけはこのコンサートですか、と藤本さんが尋ねると、「もちろんそうです。ジョー・ブラウンが演っているのを聞いて、改めて素敵な曲だなぁ、と思って。雰囲気がぴったりですよね」と和田さん。
本作の音楽監督を務めたエリック・クラプトンに関して、藤本さんより「クラプトンはジョージの弟分として、裏方に徹して、気も回しながら甲斐甲斐しく主催者を務めていて、そのあたりにもジョージへの想いの強さがでていますね」と語ると、和田さんも「この映画を観るとクラプトンが好きになりますよね。普段よりもよく笑っているんですよ。そのあたりも素敵だな」と話されました。また、ソロも控えめで「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」も前半はレコードに忠実にギターを弾くクラプトンに、ポールのピアノ、リンゴのドラムとレコーディングしたときのメンバー3人が揃っていることへの改めての驚きも語られました。
「ビートルズの二人、リンゴやポールが出てくるだけでオール・スター・バンドのようになりますね」と言う藤本さんに、「ビートルズの二人が持っている華は特別なものがありますね」と和田さん。「〈フォー・ユー・ブルー〉でポールがリンゴに合図を送って、リンゴが一節を歌う場面なんかもいいですよね」と継ぎ、しばしポール談義に花が咲きました。
「モンティ・パイソンのハチャメチャなコメディーやいわゆるブラック・ユーモアからインド音楽や宗教的な荘厳さまで、ジョージらしい幅がありますよね」(藤本さん)「そうですよね。ロックもありで、最後は〈夢で逢いましょう〉という音楽的にミクスチャーなところも好きな所なんですよ」(和田さん)「そこもジョージだからこそですよね。ジョージが好きだった人たちがちゃんと声をかけられて集まっているのもわかります」(藤本さん)と、ジョージ不在のトリビュート・コンサートながら、様々な場面でジョージらしさを感じられるコンサートだったこともしみじみと語られました。
和田さんからの「ジョージの日本公演でもバックを支えた面々がいるのもいいですね。かつてジョージの曲を演奏している人たちがバックにいるから演奏もタイトでまとまっています」とのお話や、開催から21年経ち、トム・ペティやビリー・プレストン、ラヴィ・シャンカール、ゲイリー・ブルッカー、ジム・キャパルディなど、既に亡くなっているミュージシャンも多く、月日を感じるということや、ジョー・ブラウン、サム・ブラウンを始めとする出演ミュージシャンにまつわるお話など、本作をよく知るお二人ならではの様々なエピソードがテンポよく語られ、会場からの大きな拍手とともに30分のトーク・イベントは終了となりました。