昨年11月に4年半ぶりのオリジナル・アルバム『
L'Heure Bleue(ルール・ブルー)』をリリースした
原田知世が、同作の発売記念コンサート〈原田知世 Special Concert 2019 “L'Heure Bleue”〉を、1月28日に東京・渋谷 NHKホールにて開催しました。
一夜限りの公演だけあって、客席は全国各地から集まってきたファンによって埋め尽くされ、開演前から心地よい熱気に包まれていました。定刻から5分を過ぎたころ、新作収録曲「ショート トリップ」が流れ、徐々に会場内が暗転。ステージ前の紗幕に映像やメンバーの影が浮かび上がり、曲が終わりに近づくとスポットライトに照らされた原田のシルエットが中央に浮かび上がり、続いてチェロが「Hello」のイントロを奏でるなか、ピンクのドレスをまとった原田の姿が現れると、客席からは大きな拍手が巻き起こりました。
今回のプロデュースを務めた
伊藤ゴロー率いるバンドには、新作で2曲の作詞を手がけた
角銅真実がパーカッションとコーラスで加わり、原田を含めた総勢10名がステージに登場。「今夜は皆さんと一緒に楽しいひとときを過ごしたいと思います」という挨拶につづけて、「風邪の薬」「名もなき青」と『L'Heure Bleue』収録曲を披露。流麗なストリングスの音色とあいまって、メランコリックなムードが会場を包み込みました。
「去年の今ごろは、ドラマ『半分、青い。』の撮影をしていました。その時点ではニュー・アルバムを作るなんて考えてもいませんでした。ドラマの撮影が終わって、短い期間で制作したのですが、素晴らしい作品ができました。今回はいろいろなアーティストの方に、短編映画を作るように物語をつむいでください、とお伝えして歌詞を書き下ろしていただきました。それにゴローさんが素敵なメロディをつけてくれて、どの曲も歌うのがとても楽しいです」というMCをはさんで、再び新作から「わたしの夢」と、代表曲「くちなしの丘」を披露。どちらも
キセルの
辻村豪文が提供したナンバーで、透き通る優しい歌声に会場内は柔らかな雰囲気で満たされました。前半のクライマックスは「Hi」と「Giving Tree」という幻想的な2曲。ノイジーなギター・サウンドが印象的な「Hi」では、ドイツ・ベルリン在住の世界的ダンサー、ハラサオリによる振り付けも披露しました。
休憩をはさみ、蛍光グリーンと白のセットアップが華やかなドレスに着替えて登場した第2部は、原田の90年代のヒット曲「シンシア」と「ロマンス」からスタート。清々しく晴れやかな原田の歌唱に、観客も熱い拍手で応えました。再び大人のムードに戻って「うたかたの恋」と、精緻な照明や映像によって曲の世界観が一段と広がった「夢の途中」を披露。本編ラストは、元
チャットモンチーの高橋久美子が作詞した「2月の雲」と「銀河絵日記」。ステージ全体が銀河に包まれたかのような演出で、会場を温かい空気で満たし、ステージをあとにしました。
アンコールは、
土岐麻子が作詞を手掛けたアップテンポの「ping-pong」と、ストリングス・アレンジによる原田の代表曲「時をかける少女」を演奏。2曲を歌い終えてメンバーとステージを去った後も、観客の拍手は鳴り止まず、再びステージに戻ってきた原田は、バラード・アレンジの「銀河絵日記〜piano version」をしっとりと歌い上げ、ステージを締めくくりました。心にしみるパフォーマンスに客席からは惜しみない拍手が送られました。
photo by 三浦憲治
■原田知世 Special Concert 2019“L'Heure Bleue”
2019年1月28日(月)
東京 NHKホール
[セットリスト]
SE. ショート トリップ *
01. Hello *
02. 風邪の薬 *
03. 名もなき青 *
04. わたしの夢 *
05. くちなしの丘
06. Hi *
07. Giving Tree
〜休憩〜
08. シンシア
09. ロマンス
10. うたかたの恋
11. 夢の途中 *
12. 2月の雲 *
13. 銀河絵日記 *
Encore 1
14. ping-pong *
15. 時をかける少女(2017 version)
Encore 2
16. 銀河絵日記〜piano version *
*印:新作『L'Heure Bleue』収録曲
[メンバー]
原田知世(vo)
伊藤ゴロー(g) / 佐藤浩一(p) / 鳥越啓介(b) / みどりん(ds・SOIL&“PIMP”SESSIONS) / 角銅真実(perc, cho) / 伊藤 彩(vn) / 沖増菜摘(vn) / 三木章子(va) / ロビン・デュプイ(vc)