4月に80歳の誕生日を迎えた
ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)が1973年に発表し、ヒップホップをはじめとするその後の音楽シーンに多大な影響を与えたアルバム『ヘッド・ハンターズ』がSACDマルチ・
ハイブリッド・エディション(SACDハイブリッド SICJ-10014 3,500円 + 税)で9月9日(水)に発売されます。アナログ・マスターから新たにマスタリングされたCDのステレオ音源のほか、SACDの2chと4chを収録。7インチ紙ジャケット仕様の完全限定盤です。
68年に
マイルス・デイビスのクインテットを離れ、その後結成したみずからのセクステットを解散させた後、プロデューサーにデヴィッド・ルービンソンを迎えて制作した『ヘッド・ハンターズ』は全米チャートで13位を獲得。商業的にも大きな成功を収めました。参加メンバーはハンコックのほか、
ベニー・モウピン(ss, ts)、
ポール・ジャクソン(b)、
ハーヴィー・メイスン(ds)、
ビル・サマーズ(perc)。ハンコックは当時を振り返って96年執筆のライナーノーツで以下のように書いています。
「私は自分自身のエネルギーが何か他の物を必要としているのでは? と考えた。よりスピリチュアルなもの、人間としての自分とより強いかかわりを持つものを。私は自分が音楽の上層大気圏や、より幽玄で現実離れした宇宙的なものの探求に時間を費やしすぎたような気がし始めた。今度は地球をいくらか多く取り上げ、大地との結びつきというつながりを少し強く感じる必要性が生じたのだ。人々は進化していた。ジャズ・アーティストたちの興味の対象が音に表れ始めていた。ロックンロールに注目しそれを取り入れること…ジャズ・ミュージシャンたちはそれにほとんど影響されなくとも、あるいは何かしら影響されても、音楽を作りだすことが出来た。無に近いものを発展させて、そこから何かを生み出すのはジャズの性である。自分たち(セクステット)がやっている音楽を重苦しく感じ始めていた私は、すべてが重苦しいことに疲れていた。もっと軽やかなものを演奏したかった。問題は、私たちが当時やっていた音楽をより受け入れられやすいものにしつつ、自分たち独自の価値観のエッセンスを維持することが、どのように新しい方向性を導きだすことができるのかということだった…」
アルバムの大ヒットを受けて、74年には4chのアナログLPクアドラフォニック盤がリリース。今回発売されるマルチ・チャンネルは、このクアドラフォニック盤のアナログ・マスターからフロント / リアの4chで復刻したものです。
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